マンション投資というビジネスを行う以上、避けては通れないのが税金への備えです。
サラリーマンの場合、会社側が調整してくれるのはあくまでも会社から支払われる給与に対する税金のみ。「マンション投資の所得」に対する納税手続きは自己責任で行う必要があります。
今回は、サラリーマン大家にとって必須となる年末調整と確定申告の基本を押さえていきましょう。
目次
マンション投資に年末調整が必要か
サラリーマンなら投資の有無に関わらず年末調整が必要
前提として、サラリーマンであれば投資の有無に関わらず年末調整が必要です。給与所得を得ている場合、本来なら年間の収入・必要経費・控除がわかった上で納税する所得税・住民税などを会社側が大まかに計算し、源泉徴収を通して代わりに納税してくれています。
ただし、この方法では生命保険料控除や寡婦・寡夫控除といった個々の事情で使える各種控除が適用しきれず、税金を納め過ぎたり前納分が不足したりしてしまうケースが出てしまうので、年末調整という手続きで納税額を正確な金額に調整しているのです。
マンション投資の所得が年間20万円を越えると確定申告が必要
本業で給与所得などを得ている場合、年間の所得(収入から必要経費や各種控除を差し引いた残り)が20万円を越えてしまうと確定申告という手続きが必要になります。確定申告は、1年間の収入・経費・控除などから納税額を計算し、税務署に必要額を納付する手続きのこと。マンション投資で得た収益は、勤めている会社とは無関係なので年末調整や税額計算の代行は会社に頼めません。そのため、マンション投資の収益に関しては投資家が自ら確定申告を行い、納税する必要があります。
マンション投資の年末調整で還付が受けられる条件
マンション投資事業が経理上赤字になっている
マンション投資後の確定申告や年末調整で納めすぎた税金の還付が受けられるのは、マンション投資事業が経理上赤字になっているケースです。
不動産所得は、収入と必要経費・控除の差し引きで額が決まります。マンション投資事業を行う上で支払う修繕費に管理会社との契約料、物件本体の購入費用などは経費として処理できるので、「手元にお金があっても経理上は赤字」になる場合が少なくありません。この場合、マンション投資の赤字分を本業の収入から差し引きできるため、源泉徴収を通じて納めていた所得税・住民税が戻ってきます。
過去5年間で受けられる控除を受けていなかった
年末調整において、本来使えるはずだった控除の証明書を会社に提出していなかった場合、過去5年間にさかのぼって確定申告をやり直すことが可能です。
税に関する知識がなかったり忙しく手続きをする予定がなかったりして、年末調整の手続きを忘れていたという方も多いので、マンション投資を始める際は自身がどの控除を利用できるのか調べておきましょう。
マンション投資の年末調整で確定申告しないで良い場合
マンション投資によって得た不動産所得が年間20万円以下だった場合、確定申告は必要ありません。
ただし、サラリーマン大家にとって、赤字事業は本業の税負担を軽減できる効果的な節税手段です。黒字が出る場合はもちろん、赤字になる場合も計画的に経理や申告作業を行うことで事業がうまくいっているかどうかの判断をしやすくなるため、マンション投資と確定申告はセットで考えておきましょう。
ママンション投資の確定申告しなかった場合のリスク
確定申告が必要な方がマンション投資の収入に対する確定申告をしなかった場合、無申告加算税を始めとした各種追徴課税の対象になります。税務署による帳簿のチェック、税務調査は過去7年間分の経理データをさかのぼって適切な納税額と追徴課税を請求できるため、毎年忘れずに確定申告を行いましょう。
なお、不動産売買のような大きな手続きは法務局を通じて税務署が捕捉しているため、税務調査や追徴課税からは逃れられません。
マンション投資の具体的な確定申告方法
マンション投資の具体的な確定申告方法は、以下の通りです。
- 国税庁のWebサイトで確定申告書類を入手する
- 領収書やレシートなどを用意し売上・経費などを記した経理データを作る
- 2月半ばから3月半ばまでの申告期間中に必要書類を税務署へ提出する
申告手続きは、郵送やマイナンバーカードなどを使ったオンライン申告にも対応しています。1年分の書類を短期間で整理するのは困難なので、月ごとに経理作業を行うか、税理士などに依頼し、代わりに申告をしてもらうと良いでしょう。
まとめ
サラリーマン大家としてマンション投資を始めた場合、会社への年末調整とは別に不動産所得に対する確定申告が必要です。手続き自体は面倒ですが、確定申告をすることで経費を適切に申請して所得税を節税したり、赤字が出た場合に本業の収入と合算して所得税や住民税が戻ってきたりするなど、さまざまなメリットも受けられます。将来的に投資が軌道に乗り、黒字化すれば必ず必要になる手続きなので、マンション投資を始めるなら確定申告の準備も始めましょう。