マンション投資を始める際は、物件購入をはじめとする初期投資にばかり目が行きがちで、それ以外にかかる毎月の維持費を見落としてしまうことがあります。
しかし、収益を考える上では初期投資だけでなく、ランニングコストについても考えることが必須となります。ここでは見落とされがちなマンション投資の毎月の出費について考えていきましょう。
不動産投資は初期費用に目が行きがち
不動産投資では、まず物件の購入が必要となるため、そのほかの投資方法と比べても多額の初期費用がかかります。物件を選ぶ際の表面利回りも、年間家賃収入を物件購入価格で割って算出します。
表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格 |
そのため、初期費用にばかり目が行きがちです。しかし、収益物件の維持には毎月費用がかかるので、それらを計算して資金計画を考える必要があります。
表面利回りに対して実質利回りは、経費や購入時の諸費用も合わせて計算します。
実質利回り=(年間家賃収入-年間経費)÷(物件購入価格+購入時諸費用) |
表面利回りがいくら高くても、実質利回りが低いと手残りを確保できません。そのため、収益物件の収支計画を立てる際は必ず実質利回りで計算しましょう。
初心者のマンション投資家に対して、表面利回りの良さだけを強調して物件を進めてくる業者がよくいます。しかし、そうした業者はあまり信用できません。実質利回りについてもきちんと説明してくれる業者を選びましょう。
不動産投資にかかる毎月・毎年の維持費の内訳
収益物件の維持費は、建物の種別によって変わってきます。主な費用には次のようなものがあります。
建物の種別によらず共通してかかるもの
- 固定資産税
- 火災保険料
- 管理会社の管理手数料
区分マンションの場合
- 管理費
- 修繕積立金
一棟マンションや一棟アパートの場合
- 共用部の清掃費、備品の購入費など
戸建て住宅の場合は、共通してかかる維持費以外の維持費が基本的にかかりません。
特に、区分マンション投資では管理費や維持費が毎月大きくかかります。物件価格が100万円を切るような格安物件の中には、「家賃から管理費と維持費を差し引いたら、半分も残らない」という物件も多いです。
修繕積立金の金額は購入のハードルを下げるため、築年数が浅いうちは安めに設定されており、古くなるにつれて高くなる傾向があります。そのため修繕積立金が多少値上がりしても、収益部分で値上がり幅を吸収できるような収支計画を立てましょう。
不動産投資中に随時かかる維持費の内訳
いったん購入して客付けができたマンションでも、入居者が退去することがあります。その場合、都度、新規の客付けのために仲介手数料や物件の修繕費を負担しなければなりません。
維持費の多くは空室中も継続してかかりますし、不動産投資ローンの返済も必要です。こうした持ち出しが続く場合に手元資金に余裕がないと、数ヵ月の空室でキャッシュフローがマイナスになってしまうため、不動産投資をする場合は手元のキャッシュを十分に確保しておくことが大切です。
管理会社を利用すると
物件を自主管理することで、管理会社への手数料を節約するオーナーも少なくありません。しかし自主管理の場合は、毎月次のような業務が発生します。
- 家賃の入金確認
- 滞納の督促
- クレーム対応や設備不具合時の現地駆け付け
- 退去時の原状回復
- 入居者募集
- 一棟もの野場合は共用部の清掃管理 など
副業オーナーの場合は本業の合間に不動産投資関連の業務をすることとなるので、駆け付けなどの対応がすぐにできないことも多いかもしれません。水回り設備の故障や鍵の紛失などでは迅速な対応が求められますし、対応が遅くなると入居者の不満がたまり、退去に繋がる場合もあります。
そのため、マンション投資ではやはり管理会社へ委託する方法が一般的です。管理会社はマンション投資のいわばパートナーともいえる重要な存在なので、情報を収集して信頼のおける業者をしっかりと選びましょう。
管理会社はこうした管理業務の経験が豊富で、ノウハウが蓄積されています。空室リスクを少しでも下げるために、管理会社を選ぶ際は何より入居付けに強いかどうかが重要なポイントになります。
滞納時の対応によって家賃の滞納率が変わってくるともいわれているので、その点のチェックも大切です。
維持費も含めて余裕を持った資金計画を
不動産投資では、このように毎月の維持費がかかるということがおわかりいただけたでしょうか。物件の築年数によっては、これらに加えて個別の故障や不具合に対する修繕費や、リフォーム費が余計にかかってしまうこともあります。
そうした事態にも余裕を持って対処できるよう、物件購入の検討時には収支にゆとりのあるシミュレーションをすることが大切です。周辺の空室率を調べておき、空室率も反映した収支計画を立てておくと、より安心してマンション投資が進められます。