マンション投資に必要な経費は、物件の購入費だけではありません。分譲マンションの場合、物件購入後は管理費や修繕積立金がかかります。これらは必要な経費と考え、収支計画にもきちんと盛り込んでおきましょう。
こちらでは管理費が一体どのようなもので、何にどのように使われているのか解説していきます。
管理費(管理委託手数料)とは
管理費とは、不動産の管理会社に支払う管理委託手数料のことです。不動産投資は不労所得と言われることがありますが、それはこの管理会社への委託制度があるためです。
投資用のマンションを運営するには、共有部分の清掃や整理、入居者からのクレーム対応、空室の入居者募集、退去時の原状回復や清掃の手配など、さまざまな管理業務をこなさなければなりません。不動産投資家には「本業はサラリーマンで、不動産運営は副業」という人が多いのですが、本業の片手間ではこれらの業務をとてもこなせません。
そこで、不動産オーナーの多くは家賃の中から毎月一定額の管理費を支払い、それらの作業を一括して管理会社に委託します。委託できる管理業務の内容は、契約によって変わってきます。
賃貸物件の管理費は、完全に家賃に含んでしまう方法と、「共益費」という費目で家賃に上乗せして集金する方法があります。敷金や礼金の金額は家賃を基準に算出するので、別途共益費を設定すれば初期費用を抑えられ、入居者募集では効果的です。
管理費と管理修繕積立金の違い
管理費は物件の管理業務を委託する際の手数料として、管理会社に支払うお金です。一方管理修繕積立金(修繕積立金)は、建物の修繕やメンテナンスにあてるための費用です。
具体的には、次のような項目で使用されます。
・共用部の電気代
・共用部の清掃費
・ごみ処理費
・植栽(植木)の整備
・消防設備・エレベーターなど共用設備の保守点検
これらに使った残りの金額は、修繕積立金は10年に1回程度定期的に実施する「大規模修繕工事」に備えて積み立てられます。分譲マンションの場合は管理組合がこれらの修繕積立金を集めて積み立てているので、積み立て状況を確認してみましょう。
管理組合に確認すれば、大規模修繕工事を含めた建物の修繕計画も確認できます。
管理費の使い道
管理費は通常、次のような目的で使用されます。
家賃の集金代行 | 毎月の家賃を入居者から回収します。現代では振込が一般的なので、 毎月一定の締切日までに入金されているかを確認します。近年では、 クレジットカード払いやコンビニ支払いなどさまざまな支払い方法に 対応する管理会社も登場しています。 |
家賃未納者に対する督促 | 締切日までに入居者から家賃が振り込まれていなかった場合、 オーナーに代わって入居者に連絡して支払いを促します。対応の程度 が管理会社によって異なります。 |
更新契約 | 2年ごとなどの契約日前に、更新希望の有無を入居者に確認します。 退去時の物件の状態を互いに確認する立会い業務を、オーナーに代 わって引き受ける管理会社もあります。 |
入居者のクレーム対応 | 設備の故障や隣人トラブルなど、入居者からのクレームは多岐に わたりますし、時間も問いません。管理会社に委託することで、対 応の負担が軽減できます。 |
入居者募集 | 客付けの強さは、管理会社によってまったく異なります。 空室リスクは不動産投資をする上で大変大きな問題です。オーナー が自ら入居者募集もできますが、労力が大きいので、客付けに強い 管理会社に任せた方が無難です。 |
管理費の相場
管理費はオーナーと管理会社が都度契約時に決めるものなので、はっきりとした費用の決まりがありません。ただ、一般的には家賃の5%前後に設定することが多いようです。
管理業務にどこまでが含まれるのかは会社によって違いますし、委託内容によって手数料が多少変わるケースもあります。
手数料が安い管理会社を選べば有利に感じられるかもしれませんが、それ以上に重要な要素が「客付け」です。管理会社によって集客力が全く違うので注意しましょう。手数料が安くても、客付けに弱いと感じたら管理会社の変更を検討してください。
「管理会社に不満はないけど、ちょっと管理費が高い」という場合は、契約を他社に変更するという方法があるほか、交渉すれば金額を値引いてくれるかもしれません。
自主管理なら管理費不要でもリスク大
実は賃貸物件の管理をオーナーが自分で行う「自主管理」という方法もあります。その方法なら、当然管理料がかかりません。
しかし、クレーム対応や家賃の収受、各種契約の締結などの管理業務は、一定の知識がなければなかなかできません。建物のメンテナンスや日々の清掃などに関しては、知識が必要な上に手間もかかります。
自主管理だと家賃を滞納する入居者への対応や、隣人トラブルへの対応など、どうしてもリスクが増えてしまいます。できれば信頼のおける管理会社へ管理を一括して委託しましょう。
まとめ
「マンションの資産価値は管理で決まる」といわれるほど、マンションでは管理が重要です。
管理費はマンション投資に欠かせない必要経費。素人であるオーナーが無理をして自主管理するのではなく、パートナーとして信頼のおける管理会社を見つけて業務を委託することをおすすめします。