不動産投資というと投資用物件の購入が必要になるため、「潤沢に資金があるお金持ちしかできない」と思い込んでいる人も少なくありません。しかし、不動産投資では資金が潤沢な人でも不動産投資ローンを使って融資を受け、物件を購入するスタイルがごく一般的です。むしろ不動産投資のうま味は、融資にあるといっても過言ではありません。
だからといって、頭金がまったくない状態で不動産投資を始めることはできるのでしょうか?ケース別に見ていきましょう。
目次
不動産投資にかかる頭金の目安
不動産投資にかかる頭金の目安は、その人の属性(年収や預金額、勤務先の安定性、勤続年数などの融資審査に影響を与える要素)や購入する予定の物件が持つ資産価値など、ケースによって大きく違ってきます。そのため、一概にいくらとはいえません。
2割程度が目安といわれることもありますが、購入金額の全額を融資で賄い、頭金はゼロというケースもあります。不動産投資の経験も考慮されることが多いので、ある程度、実績を積めば頭金が少なくても融資を受けられるケースが増えるでしょう。
まったくの初心者の場合、頭金ゼロというケースは少ないと考えましょう。
頭金なしの不動産投資―フルローンを使う場合
頭金なしで投資用物件を購入することを「フルローンを組む」といいます。現預金が豊富にある人や、年収が高い人は属性が良いとされて金融機関からの評価が良くなるため、経験がなくてもフルローンを組める可能性があります。
フルローンを組む場合でも、借りられる金額は一般的に物件の売買価格までです。
融資に必要な事務手数料やローンの保証料、登記にかかる費用、火災保険、不動産会社に支払う仲介手数料など、物件の本体価格以外にかかる費用を諸費用といいますが、この部分は基本的に融資が受けられません。
不動産投資ローンは物件を担保設定し、その資産価値に応じた金額を融資します。諸費用は実体がなく、資産価値が生じないため同じ融資では借りられないのです。諸費用だけで物件価格の10~20%程度かかるので、その部分は現金を用意しておきましょう。
頭金なしの不動産投資―オーバーローンを使う場合
こうした諸費用を含めて資金を借り入れることを「オーバーローンを組む」といいます。不動産投資ローンに特化した金融機関の中には、こうしたオーバーローンに比較的積極的なところもあります。
頭金なしで投資するリスク
頭金なしのフルローンやオーバーローンを組んで不動産投資をする場合、毎月の家賃収入に対して返済額の占める割合がどうしても高くなります。この時に絶対にしておくべきことが、手持ち資金の確保です。不動産投資は、手持ち資金がゼロになった時点で終了です。
返済額の割合が高いと、ほんの数ヵ月空室が続いて家賃収入が途絶えただけで、返済に滞ることがあります。最低でも半年、できれば1年間の空室に耐えられる程度の現金を手元に確保しておきましょう。
手持ち資金に余裕がないと、空室に焦って安く物件を手放すことになってしまい、いよいよ不動産投資に復帰できなくなるかもしれません。そうならないよう、入居者が確保できているときは現金の蓄積に努めましょう。
不動産投資の初期費用を抑えるためのコツ
少しでも初期投資を抑えて早めに不動産投資を開始したいなら、次のような方法を検討してみましょう。
方法1 頭金を減らす
属性が良く、頭金を減らしても審査に通るようであれば、頭金をできるだけ減らしてフルローンに近い金額を借り入れます。ただし、毎月の返済額が大きくなるので、手持ち資金に余裕があることが絶対条件です。
頭金を入れない時こそ、手持ち資金をしっかりと準備して空室リスクに備えましょう。
方法2 諸費用をチェック
不動産を購入する際の諸費用の項目には、絶対にかかる上に金額が変わらない項目(税金など)と、依頼先によって変わってくる項目があります。
たとえば、登記を依頼する際の登録免許税は金額が決まっていて、節約はできません。しかし、登記を依頼する司法書士に支払う司法書士報酬は、依頼先によって異なります。業者任せにするのではなく、自分で情報を集めて比較してみましょう。保険なども同様です。
不動産会社が自社の所有物件を売主として売却している物件も狙い目です。直接取引なので、仲介手数料がかかりません。
まとめ
1軒目の投資用マンションを購入する場合、実績がないため頭金なしだと融資審査が不利になりがちです。また、初期費用は安く済むかもしれませんが毎月の返済額が大きくなるため空室リスクが心配です。
まずは多少の頭金を入れて物件を購入し、実績を増やしていきましょう。頭金以外の初期投資を抑える工夫も大切です。