相続税法は年々少しずつ改正されていますが、特に大幅改正の施行された2016年以降、相続税対策の重要性が増してきました。基礎控除額が引き下げられ、財産が多い層への税率の引き上げられたことで、増税となったためです。
数ある相続税対策の中でも、効果が大きいとされる手法のひとつがマンション投資です。その仕組みを知って、賢く節税につなげましょう。
預貯金が不動産に変わると評価が下がる
マンション投資が相続税対策になる理由は、預貯金で持っておくよりも不動産を購入した方が、財産の評価が下がるためです。
相続税は財産の総額から控除額を差し引き、課税対象額に応じた控除額を引き、残りに税率(10~55%)をかけて算出します。
相続税課税対象額=財産総額-(3,000万円+600万円×法定相続人の数) |
たとえば、現金の財産評価はそのまま額面通りです。しかし、賃貸用不動産の評価は、建物に関しては「借家権割合」が適用され、土地に関しては「貸家建付地」であるとして、それぞれ評価額が大幅に圧縮されます。
「借家権割合」とは、賃貸物件だと所有者が自由に使えないことから、自分が使う物件よりも不動産を低く評価する考え方です。これにより、賃貸物件は自宅などに比べて評価額が低く(実税価格の4割程度、入居率により変動)算出されます。同様の考え方で、賃貸物件の建つ土地は「貸家建付地」として評価額が大幅に下がります。
このため、マンション投資は相続税の対策として有利です。
小規模宅地等の特例で納税額が控除される
さらに相続上マンション投資が有利となる点が、「小規模住宅地等の特例」です。被相続人(亡くなった人)の所有する土地に対し、相続税の納税額が控除できる特例です。
宅地の場合は限度面積が330平米で、減額割合は80%です。それに対して貸付事業用宅地等に該当する宅地などだと、限度面積が200平米となり、減額割合が最大50%となります。つまり住宅としてマンションを貸し出すマンション投資は、限度面積200平米まで適用が受けられます。
この制度の適用を受けるには相続税の申告期限までに貸付事業を引き継ぎ、継続して事業を行っていなければなりません。相続税の申告も必須です。
家族の将来の生活を守れる
不動産投資は比較的安定した収入が得やすい投資手法です。万が一、投資した本人が亡くなっても、継続して家賃収入が得られれば残された家族の生活が安定します。まったく知識がないと運用が負担になる可能性もあるため、日頃から所有する不動産の情報を共有しておき、サポートしてくれる不動産投資会社の担当者にも、家族を紹介しておくことをおすすめします。
節税目的のマンション投資はおすすめできない
マンション投資は帳簿上の数字を赤字とすることで、所得税等の節税にも利用される投資手法です。建物の減価償却期間は実際の出費を伴わない経費が計上できるため、キャッシュフロー上はプラスになるよう不動産投資ローンを組み、節税する人がよくいます。
しかし、節税効果を高めようと赤字経営ばかりを続ける投資はおすすめできません。
マンション投資は投資の一種なので、常に一定のリスクがつきまといます。長期的に利益を出すためには、キャッシュフローを蓄積してそうしたリスクに備え、空室対策などもしっかりと練っていくことが大切です。
節税ばかりを目的としたマンション投資は、この観点がおろそかになりがちです。赤字になっても、「節税目的だからまあいいか」と改善意欲を持たずに、ずるずると赤字が膨らんでいくケースが見られます。赤字があまりに続くようなら、相続税が節税できても意味がありません。
マンション投資のパートナーに相談
マンション投資を成功させるには、物件の仕入れから日々の運営管理、入居者対応など、一定のノウハウが必要です。それらをまったく持たずに参入すると、赤字に転落しやすいので、節税目的であっても、まずはマンション投資について全般的にアドバイスしてくれる不動産投資会社に相談しましょう。
マンション投資は数年から数十年という長いスパンで収益を考えるものです。節税効果を含めて収支計画を作り、どのように運営していきたいか、どの程度の収益を上げたいかというビジョンを練っておきましょう。
それを立てておくことによって、物件の売却タイミングという出口戦略も見えてくるはずです。こうした収支計画についてもアドバイスしてくれる、経験の豊富な会社を選びましょう。
まとめ
ご紹介したように、マンション投資は相続税対策として非常に有効な手法です。しかし節税ばかりを目的として運営すると、やがて赤字が膨らんで本末転倒になるかもしれません。まずは節税効果を含めて収支計画の策定に対するアドバイスをしてくれるマンション投資のパートナーを見つけましょう。