空室対策の方法にはさまざまなものがありますが、その中の一つが家具や家電の導入です。家具付き物件にすることで、空室が解消できるケースがあります。
家具付き物件は、入居者にとっても不動産投資家にとってもメリットがある選択肢です。実際の導入方法も含めて、詳しくご紹介していきましょう。
家具付き物件とは
家具付き物件とは、ベッドや机といった家具をオーナーが購入し、部屋の備品として備えている賃貸物件のことです。冷蔵庫や洗濯機など、家電を備えているものもあり、その場合は「家具家電付き物件」とよばれます。
以前は家具付き物件というと、マンスリーマンションやウィークリーマンションといった、契約期間が短い物件に限られていました。しかし近年では、契約期間が2年間などの通常の賃貸契約物件でも家具付き物件が増えてきています。
家具付き物件のメリット―居住者の目線
家具付き物件のメリットは、入居者とオーナーによって違ってきます。入居者にとってのメリットには、次のようなものがあります。
初期費用が安い
賃貸物件の入居時には、敷金や礼金、引っ越し代などでまとまったお金がかかります。その上、家具や家電を買い揃えるとなると、経済的負担が大きくなってしまいます。しかし、家具付き物件なら、家具や家電の購入が必要ありません。
買い揃える手間が省ける
家具や家電を買い揃えるためには、家具屋や家電量販店に足を運んで商品を選ばなければならず、費用だけでなく手間もかかります。その手間も、家具付き物件なら必要ありません。
引っ越しの負担が減る
物件に備え付けの家具や家電を使えばその分、荷物が減るので、引っ越し費用や手間も抑えられます。「気軽に入居できる」というハードルの低さが、入居者の確保につながるかもしれません。
家具付き物件のメリット―オーナーの目線
賃貸物件を家具付きにすると、オーナーには次のようなメリットが得られます。
単身者や短期滞在者に選ばれやすい
家具付き物件は家具や家電にこだわりのない単身者や学生、海外赴任者などの短期滞在者に選ばれやすいという特徴があります。特に、大学などの学校の近くや、海外からの赴任者が多い大手企業の近くにある物件を家具付き物件にすると、空室対策としての効果が見込めます。
家賃を高く設定できる
家具付き物件は設備を揃える費用がかかっており、入居者の初期費用を抑える効果があるため、一般的に周辺の同じ広さや築年数の物件よりも家賃が高めに設定できます。初期投資の回収後は、高くなった家賃がそのまま収入となります。
法人契約の可能性も
大手の企業の中には、海外赴任や地方からの単身赴任が多いところもあります。そうした社員それぞれが引っ越しのたびに家具・家電を買い揃えると負担が大きくなるので、企業として家具付き物件を法人契約し、一括借り上げするというケースも少なくありません。そうなれば、長期にわたり安定した家賃収入が得られます。
優先して設置すべき家具とは
家具付き物件の家具や家電を選ぶ際は、自分で購入すると費用がかかり、大きくて引っ越しの邪魔になるものを優先して用意しましょう。次のような家具家電は、特に優先して揃えておくべきアイテムといえます。
- ベッド
- 机といす
- エアコン
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- 電子レンジ
近年ではエアコンは、家具付き物件でなくてもついていることが多いので、ないと入居率が下がる原因ともなりかねません。空室率を下げたいなら、必ず設置してください。冷蔵庫や洗濯機も引っ越しの際にとても邪魔になるものなので、あると大変喜ばれます。次のようなものは、あればより喜ばれるけれどなくても問題ないアイテムです。
- カーテン
- ソファ
- テレビ
- 炊飯器
単に「家具付き物件」というアピールポイントで客付けするなら、これらのデザインには特に中止を払う必要はありません。しかし、壁紙など内装も含めてデザイナーズ物件として差別化し、高めの家賃を設定して入居者を確保するという手法もあります。周辺に類似物件が多い場合などは、差別化の手法として検討してみましょう。
家具も修繕の対象になるので注意
家具付き物件にした場合、設置する家具や家電は備品になるのでオーナーによる修繕の対象となります。たとえば入居中に備え付けの家具が壊れた場合などは、オーナーが費用を負担して修理しなければならないこともあります。壊れやすい高価な家具や家電などは、避けておいた方が無難です。
まとめ
ご紹介したように、物件の立地によって期待できる効果が異なりますが、家具付き物件は空室対策として有効だといわれています。特に、近くに学校や大企業がある物件なら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
それまでの家賃との差額で初期費用を回収したあとは、家賃収入のアップにもつながります。投資物件を運用する選択肢の一つとして、ぜひ知っておきましょう。