住宅ローンを利用する際は、総支払額を下げるために頭金を入れることが推奨されます。マンション投資をする際に利用する不動産投資ローンは、場合によっては住宅ローンよりもずっと高額の借り入れになることもある融資制度。この場合も、借入には頭金が必要なのでしょうか？
不動産投資ローンも住宅ローンと同様に、頭金を用意することで一定のメリットが得られます。どのようなメリットが得られ、用意する場合はどの程度の金額を支払うべきなのか、ご紹介していきます。
マンション投資の頭金はマンション価格の1～3割
マンション投資で物件を購入する際の頭金は、マンション価格の1～3割が相場だといわれています。つまり3,000万円のマンションを購入する際は、300～900万円程度が頭金の相場ということです。ただし、状況によっては頭金を入れなくても良いこともあります。
不動産投資ローンの融資の可否や融資金額、利率、返済期間などの条件は、主に「契約者の属性」「投資対象物件の資産価値」という2つの要素で決まります。評価が良ければ物件購入価格に対して融資金額の割合が高くなり、利率は低くなり、返済期間は長く設定できる仕組みです。
属性とは年齢や年収、勤務先企業の安定性、雇用形態、勤続年数、保有資産、負債状況など、返済能力にかかわるあらゆる要素に対する金融機関の評価を指します。属性に対する評価はそれぞれの金融機関独自のものなので、同じ属性の人でも金融機関によって審査結果がまったく異なります。融資金額の上限は年収の8倍程度といわれていますが、そのほかの要因によっても大きく変動するので、一概にはいえません。
投資対象物件の資産価値は、物件の構造や築年数はもちろん、立地や収益性、設備、管理などによっても変わってきます。融資の際は対象物件を担保として設定します。金融機関は資産価値の高い物件に対し、いざ返済が滞っても売却すれば貸し倒れリスクが抑えられると判断するわけです。
属性がよく現預金が十分にあって、投資対象物件の資産価値も高い場合は、頭金なしで物件購入価格の全額融資が受けられる可能性もあります。ただしその場合も、契約に伴う諸費用などは自己負担なので注意しましょう。
頭金を用意するメリット
頭金を入れることで、一般的に次のようなメリットが得られます。
1．毎月返済額が抑えられる
頭金を入れれば物件価格に対する借入額の割合が抑えられるため、家賃収入額に対する毎月の返済額も抑えられます。毎月のキャッシュフロー（現金の出入り）が悪化しにくくなるため、多少の空室リスクにも対応可能な状況になります。
2．ローン審査に有利になる
不動産投資は完済してから次の物件を購入するのではなく、融資を得ながら規模を拡大していく方法がセオリーです。すでに不動産投資ローンを組んでいる人が融資を組む場合、属性や物件の資産価値に加えて、それまでの返済実績や自己資本比率（投資額全体に占める自己資金の割合）なども評価の対象となります。
頭金を入れることで自己資本比率を高めることができ、融資審査に有利になります。
頭金を用意するデメリット
頭金を入れると、実は次のようなデメリットも発生することを知っておきましょう。
1．手元の現金が減る
不動産投資は、手元の現金がゼロになったら終わりです。融資の返済が滞ってしまうためです。頭金を入れると手元の現金が一気に減るため、すぐには次の物件を買うこともできなくなります。
マンション投資を始めたら毎月の返済額はもちろん、自然災害による損害の修繕や湖沼などへの対応も必要で、いつまとまった費用が必要になるかわかりません。そのため、現金が減るということは最大のデメリットです。頭金を入れる場合でも、一定の額は常に手元に確保しておきましょう。
2．投資開始時期が遅れる
頭金を入れるためにお金を貯めることになると、不動産投資の開始時期が遅れます。不動産投資は返済と並行して物件を増やして規模を拡大していく投資手法。早く開始すればそれだけ利益が出やすいといわれています。投資開始時期の遅れは、投資機会の損失とも捉えられます。
頭金0円のマンション投資のリスク
属性がよく物件の資産価値も高い場合、金融機関によっては頭金0円でマンション投資を開始することは可能です。ただし、よほど利回りの良い物件でなければ家賃収入に対する返済金額の割合が高くなり、少しの期間でも空室が続くと耐えきれなくなり、破たんしてしまう可能性も…。
頭金0円のマンション投資はキャッシュフローが悪化するリスクが高いので、できれば多少の頭金は入れておきましょう。
頭金以外でマンション投資に必要な初期費用
たとえ頭金0円で融資が受けられたとしても、初期費用なしでマンション投資を始められるわけではありません。
- 不動産会社への仲介手数料
- 不動産取得税などの税金
- 司法書士報酬 など
これらの諸費用は、物件そのものの価格ではないので融資の対象外となります。つまり、マンション投資を始める際は、必ず一定の自己資金がかかるということです。
まとめ
状況によってはマンション投資の物件購入額を、全額不動産投資ローンで賄うことも可能です。しかし、その場合は、多少空室になっても余裕を持って毎月の返済額を支払えるよう、現金を手元にかなり多めに確保しておかなければなりません。
諸費用も全額自己負担です。マンション投資にチャレンジする際は、やはりある程度の自己資金を用意しておくことが大切です。
