マンション投資を始める目的は、あくまでも利益を手にして財産を増やすことです。だからこそ、収支がマイナスになるような物件・ローンで投資を始めても意味がありません。収支をプラスにするために、マンション投資における収支の基本や計算方法を把握しておきましょう。
今回は、マンション投資の収支を黒字化するために必要な知識をお伝えします。
マンション投資における収支の項目
マンション投資の収入一覧
マンション投資における収入は、以下の通りです。
- 毎月の家賃
- 入居時に支払ってもらう礼金
- 一定期間ごとに負担してもらう賃貸契約の更新料
ただし、一般的にマンションの管理は不動産会社やサブリースの企業に任せます。礼金や更新料に関しては、実務を取り仕切る業者へ渡すケースが多いため、実際の収入源は月々の家賃だけだと考えておきましょう。
マンション投資の支出一覧
マンション投資の支出は以下の通りです。
- 毎月のローン返済
- 物件の管理会社等に支払う管理費
- 火災保険料
- 修繕積立金
- 毎年の固定資産税と都市計画税
具体的な金額は、ローンの借り入れ額や不動産の資産価値、利用する管理会社によって変わってきますが、収入源に比べるとさまざまな出費が必要になってきます。
また、ローンは完済すれば支払いがなくなるとはいえ、建物が古くなると需要が減っていきますし、ローン金利が高くなったり修繕費用が増えたりするため、注意が必要です。
数十年のスパンで考えると、黒字の物件でもいずれ老朽化で収支がマイナスになってしまうため、マンション投資は投資をする前に売却タイミングなどの出口戦略まで考えておきましょう。
利益を得るための仕組みを整理
不動産投資で利益を得るために必要なのは、
- 安定した家賃収入を得られる物件の選定
- ローン返済を始めとした出費の節約
です。
賃貸需要の少ない物件の家賃を高く設定しても、空室率が高くなってしまうだけ。条件が良く高額なマンションに投資をしても、支出が大きすぎれば黒字化できません。
そのため、
- 家賃の安定した中古物件を選ぶ
- 頭金を増やす
- 定期的に金利を確認してより安いローンに借り換える
- 余裕があれば繰り上げ返済する
といった方法で家賃収入を安定させ、月々の支出を抑えましょう。
実質利回りの算出がすべての基本
投資マンションは高価なので、初月や初年度から明確な黒字を出すのが難しいです。 そこで、不動産投資では、必要経費込みで一年間の利益を見込んだ「実質利回り」を物件選びの参考にします。
投資向けの物件情報サイトなどでは、必要経費や維持費を考えない表面利回りを採用しているケースが多いため、儲かる物件かどうか知りたい場合は、以下の式に数字を当てはめて実質利回りを計算しましょう。
・実質利回り=(年間の家賃収入-年間の総支出)÷(物件の購入価格+購入時の経費)×100
ローンが残っているなら借り換えも視野に
マンション投資をする上で、最も大きな負担になるのがローンの返済です。
投資マンション向けのローンは、30年や35年かけて返済していくものが多いため、返済期間中に老朽化で家賃を下げざるを得なくなったり、金利が上昇したりすると実質利回りも落ち込んでしまいます。
そこでおすすめしたいのが、ローンの借り換えです。借り換えには数十万円の手数料がかかるものの、マンションローンは借り入れ額が大きいため、金利の低いローンに乗り換えれば、返済負担を大きく減らせます。
事前に収支のシミュレーションを実施
収支をプラスにし続けるためには、そもそも損をする可能性の高い物件への投資を避けることが重要です。空室率など、運用して始めて結果のわかる要素もあるため完全とはいきませんが、35年運用して儲かるかどうかは事前のシミュレーションである程度、判断できます。
たとえば、
- 2,500万円の新築ワンルームマンション
- ローン金利1.5%の35年固定金利
- 家賃12万円
- ローン返済・管理費等の合計額が月9万5,000万円
- 購入時の諸費用として105万円
- 経年劣化を考えて1年につき1%家賃が下がる
という条件で投資した場合、年間の実質利回りは1.15%ですが、月間の収支をプラスのまま維持できるのは24年後まで。返済開始25年からローンを完済する36年目まで赤字で経営することになります。
一方、
- 1,500万円の中古ワンルームマンション
- ローン金利1.5%の35年固定金利
- 家賃9万円
- ローン返済・管理費等の合計額が月6万円
- 購入時の諸費用として175万円
- 経年劣化を考えて1年につき1%家賃が下がる
という条件なら実質利回りは約2.15%です。見た目上の家賃が下がっていても利回りが大きいため、満室が続けば40年以上収支をプラスのまま運用できます。
まとめ
マンション投資を黒字化したいなら、収支と支出の内訳を知り、実質利回りの高い物件に投資することが大切です。
ただし、条件が良くても満室が続くとは限りません。予算や頭金の状態、周辺の立地などを考えて、適宜ローンを借り換えたりマイナスが出る前に物件を売却して投資先を変えたりすることも意識しましょう。