5年、10年とアパートローンの返済を続けていると、「もっと金利の安いローンがあるらしい」という情報を手に入れることがあります。
ただし、「金利が安い」という情報だけでローンを組み替えると、かえって損をしてしまうケースも少なくありません。アパートローンの借り換えを検討するときは、メリットとデメリットを足し引きして得するかどうかを判断することが重要です。
こちらではアパートローンの借り換えをするメリットとデメリット、注意点をお伝えしていきます。
アパートローンの借り換えとは
アパートローンの借り換えとは、現在お金を借りている金融機関とは別の金融機関でローンを組み、そのお金で既存ローンを完済する手続きのことです。
なぜアパートローンの借り換えが利用されているのかというと、金融機関やローンの種類、契約する時期によってローンの金利が違うからです。長く不景気が続く日本では、マイナス金利の影響で新しく出てくるローンほど金利が安くなっているため、借り換えを使うと金利負担を抑えられる場合があるのです。
アパートローン借り換えのメリット
金利負担が小さくなる
アパートローンを借り換える一番大きなメリットは、金利の減少による返済負担の圧縮です。アパートローンは借り入れ額が数千万円から1億円を越えてくることも珍しくない高額ローンなので、金利が1%下がるだけでローン返済総額が大幅に安くなります。
たとえば、30年ローンを15年返済しており、残り4,000万円のローンを金利2.7%で返済している場合、完済までの支払額は約4,900万円。
しかし、この時点で金利1.5%のアパートローンに借り換えると、15年間の返済額は4,500万円となります。15年で約400万円の節約ができるということは、毎月の返済額がおよそ2万円下がるということです。このメリットは決して小さなものではありません。
返済プランを修正できる
「老朽化に伴い家賃を下げたため、当初期待した通りの売上を確保できない」
「修繕費がかさんでしまった」
など、さまざまな事情で返済プランを修正したくなったときに、月々の返済額を調整できるのもアパートローン借り換えの魅力です。金利の低いローンに借り換えれば返済に余裕を持てるようになるため、その分、建物の維持・管理も楽になるでしょう。
通常、ローンの返済条件を返済中に変更するのは非常に困難ですし、返済を滞納すると物件を差し押さえられてしまうため、返済に追われている場合は早めに借り換えを検討してみましょう。
保障の手厚いローンへの乗り換えも可能
アパートローンのような高額ローンの利用時は、契約者が亡くなった場合ローン残債を肩代わりしてくれる団体信用生命保険に加入するのが一般的です。
ただ、団体信用生命保険の保障範囲は保険会社によって異なります。より幅広い保障を受けられるローンに借り換えることで、万が一の保障を充実させられる点もアパートローン借り換えのメリットといって良いでしょう。
アパートローン借り換えのデメリット
アパートローン借り換えのデメリットは、お金がかかることです。具体的な金額は利用する金融機関によって変わってくるものの、一般的にローンの借り換えはローン残債に対して5%程度の費用がかかるとされています。たったの5%ならと考えるかもしれませんが、4,000万円の5%なら200万円です。繰り上げ返済手数料や新しいローンの保証料、事務手数料に登記の変更費用等を合計すると大きな出費になってしまいます。
アパートローン借り換えの注意点
損をしないラインの見極めが必要
アパートローンの借り換えを活用する場合、「金利を下げることで抑えられる返済総額」と「借り換え費用」を差し引きして得するラインの見極めが必要不可欠です。ローンの金利を0.5%下げた結果、諸費用で赤字になってしまったという状況になっては意味がありません。アパートローンの借り換えは、新しいローン探しや審査の準備、司法書士の手配など手続きの労力も多いです。
目安として、
- 返済期間が10年以上残っている
- 金利を1%以上安くできる
場合に利用を検討すると良いでしょう。
長年関係のある金融機関との関係が終わってしまう
アパート経営を始め、賃貸物件は長期間運用して利益を出す投資手法です。
ただ、個人の財力で不動産を複数所有するのは困難なので、投資の規模を大きくしたり老朽化した物件を入れ替えたりするためには、金融機関に融資をしてもらう必要があります。
しかし、借り換えをするということは、これまでに築いてきた信頼関係を一度断ち切るということです。優良顧客としての立場を失うことで、今後の融資を受けづらくなる可能性もあるため、安易な借り換えはおすすめできません。
ローン審査に通るとは限らない
アパートローンを借り換えようと思っても、ローン審査に通らない場合があります。年齢を重ねている、病気になってしまった、所有物件の老朽化で賃貸としての価値が落ちているといった事情から審査に落ちやすくなっているケースも多いです。前回ローンに通ったからといって、今回もローンに通るわけではないため、物件の収益性や自身の属性を十分に考えた上で借り換え先のローンに申し込むかを決めましょう。
アパートローン借り換えの方法
アパートローンを借り換える際の流れは、以下の通りです。
- 借り換え先のローンを決める
- 必要書類を揃えて審査を受ける
- 審査に通ったら現在のローンを整理して借り換える
- 抵当権の抹消と設定を行う
書類の準備を除くとそれほど多くの作業はないものの、「どの金融機関の住み替えローンを利用するか」によって結果や審査の難易度が大きく変わってきます。まずは、現在のローンよりもお得なローンを探すところから始めましょう。
まとめ
返済期間が10年以上残っていて金利を1%以上下げられるなど、一定の条件をクリアしていれば借り換えによってアパートローンの返済負担を節約できます。
ただし、ローンの借り換えにも少なくない額の費用がかかりますし、審査に落ちるリスクもあるため、万人におすすめできるわけではありません。人それぞれアパートローンを借り換えた方が良いかどうかは違うので、迷ったときは不動産投資の専門家に相談してより良い選択肢を取りましょう。