マンション投資を検討しているなら、ぜひ火災保険に加入しましょう。火災保険の加入は義務ではないため、「保険料もかかるし早々災害など起きないだろう」と考えてしまうかもしれませんが、事故や災害はどれだけ気をつけていても巻き込まれるリスクがあります。
万が一、所有マンションが全焼した場合、火災保険非加入だと手元に残るのは数千万円から1億円単位のローンだけです。
ただ、そうはいっても火災保険の手数料は決して安いものではありません。こちらではマンション投資をするうえで加入するべき火災保険について解説していきます。
万が一のときに頼りになる火災保険
マンション投資をする際に火災保険の加入をおすすめする理由は、火災保険や地震保険に加入していれば、万が一のときに補償を受けられるからです。
たとえば、以下のようなトラブルは避けたいと思っていてもそう簡単に回避できません。
- 隣の建物で火事が起きて所有マンションに延焼した
- 大型の台風が直撃し飛来物で窓が割れたり設備が水没したりした
- 所有物件に窃盗犯や放火犯がやってきた
- 老朽化による破損が原因で住民や通行人に怪我をさせてしまった
マンションのような不動産は、建てた場所から動かせないので常に自然災害や人災に巻き込まれるリスクを抱えています。
特に、建物全体を巻き込むようなトラブルや人的被害を伴うトラブルを起こした場合、賠償金や保証金の額が非常に大きくなってしまうため、万が一に備えた保険の加入が必要なのです。
住宅向けの保険は大きく分けると火災保険と地震保険の2種類であり、地震保険は火災保険とセットで加入するものなので、保障を充実させるためにも不動産投資ではまず火災保険の利用を検討しましょう。
日本に多い災害
日本は諸外国と比べても非常に災害の発生数が多い国の一つです。内閣府が世界各国との災害状況を比較した調査によると、1994年から2002年までの8年間で起きたマグニチュード6.0以上の地震に関しては、20.5%が日本国内で発生しています。※1
また、国土が狭い割に日本は活火山の数も多く、同調査によると世界に存在する1,511の活火山の内7.1%が日本国内あるのです。災害によって29年間で1,489億ドルもの被害が出ていることを考えると、日本でマンションを持つ以上災害リスクは切っても切り離せないことがわかります。
108の活火山を持ち、毎年台風が訪れ、規模の大きな地震の発生数が多い日本で災害リスクを無視した不動産投資をするのは現実的ではありません。保険に入っていない場合、修繕積立金や個人的な蓄えから修繕費用を負担することになるのです。個人の財力ではカバーしきれない被害が出る可能性を考えると、災害の被害が出るという前提で補償のプランを用意しておいたほうが長期間安心して投資を続けられるでしょう。
火災以外で補償対象になる損害
マンションを対象にした火災保険の補償範囲は、以下のような被害です。
- 火災・落雷・破裂・爆発
- 風災・雹災・雪災
- 水濡れ・水漏れ等の水災
- 盗難
- 破損・汚損
具体的にいうと、火災だけでなく台風や洪水による浸水被害、盗難、偶然の事故による設備・建物の破損に対して保険金が下りるという内容になっています。
また、火災保険の基本的な補償範囲は、「建物基礎部分」または「家財」です。火災保険によってどこからどこまでを補償の対象としているのか、水災に対応しているか等が違うため、保険の利用時は必ず各社の保証内容を比較しましょう。
なお、火災保険では「地震」を原因とした災害の被害はカバーしてもらえません。地震発生後に外壁にヒビが入った、地震から火災が発生したといった損害に関しては地震保険に加入している場合に補償を受けられます。火災保険に地震保険を組み合わせると保険料が高くなってしまいますが、地震大国日本では地震のリスクが非常に高いですし、建物の構造部分に被害が出ると高額な修復費用が必要になるため地震保険もセットで加入すると良いでしょう。
大家に対する借家人賠償保険
借家人賠償保険とは、マンションの入居者に加入してもらう火災保険のことです。
通常、マンション投資において不動産オーナーは建物の補償を受けられる火災保険に加入します、入居者のために家財を対象とした火災保険にオーナー名義で加入する訳にもいかないため、「入居者がトラブルを起こして建物に被害が出た」場合の責任は入居者に取ってもらう必要があるのです。
ただし、被害額によっては一個人に損害賠償を求めるのが難しい場合もあります。そこで活躍するのが、借家人賠償保険。入居時に借家人賠償保険に入ってもらうというルールを作っておけば、万が一、入居者が水漏れを起こしたり設備を壊してしまったりしても、保険金でカバーできます。
借家人賠償保険を活用すれば、不動産投資家も入居者も金銭的な負担を大幅に減らせるので、マンション経営をする際は借家人賠償保険の利用も検討しましょう。
気になる火災保険の費用
不動産オーナー向け火災保険の保険料相場は、年間3万円から10万円前後です。火災保険の保険料は、再調達価額(同じ建物をいくらで建てられるのか)で決まります。高層マンションなど建築費用の高い建物や、RC造やSRC造の広く大きな建物であるほど保険料も高くなると理解しておけば良いでしょう。
ただし、マンションの火災保険に関しては、補償内容や補償額を調整することである程度金額を抑えられます。「ハザードマップで確認したところ水害にあうリスクが低いため、水害の補償を外す」「何かあっても土地を売れば賠償できるため、補償額の上限をマンション価格の8割にする」など、所有しているマンションに応じて保険の内容を組み替えましょう。
まとめ
自然災害や人災、入居者の過失によって受けた被害の補償を受けられるのが、火災保険のメリットです。
保険に加入していなければすべての被害をオーナーが引き受けることになってしまいますし、10年20年と不動産投資を続ける期間が長くなればなるほどトラブルに遭遇するリスクも上がっていきます。マンション投資をするなら火災保険を上手に利用しましょう。