「賃貸物件を経営したいが、入居者を確保する自信がない」
「不動産投資は初めてなのでうまく管理できるか不安」
といった場合に役立つのが、所有物件を借り上げ、入居者探しや家賃の督促等を代行してくれる家賃保証です。
ただし、家賃保証というサービスにはメリットと同じくらいのリスクもあります。
家賃保証を使いこなすために、今回は家賃保証の仕組みやメリット・デメリットを押さえていきましょう。
家賃保証とは
家賃保証(サブリース)とは、専門の会社に手持ちの物件を借り上げてもらい、毎月一定の手数料を支払う代わりに空き室でも家賃を払ってもらえるという不動産投資家向けサービスのことです。
日々の管理や問い合わせ対応はもちろんのこと、入居者探しや家賃の回収等もすべて家賃保証の会社に委託できるため、賃貸不動産のオーナーとして必要な管理の手間や労力を大幅に抑えられます。
家賃保証のメリット
入居者が決まらなくても家賃収入を得られる
家賃保証サービス最大のメリットは、家賃収入の安定性です。
通常、賃貸物件経営では空き室が続くと1円の利益も確保できません。
しかし、家賃保証を契約している場合、不動産オーナーはあくまでも家賃保証会社に部屋を貸している形になるため、たとえ空き室が続いていても一定額の家賃を家賃保証会社から支払ってもらえます。
物件の管理や入居者とのやり取りを丸投げできる
家賃保証の契約中は、
- 入居者の募集
- 問い合わせ・クレーム・緊急時の対応
- 家賃の回収
- 家賃滞納者への督促
- 設備や建物の清掃・メンテナンス
といった不動産オーナーの仕事を委託可能です。本来なら自らの時間と労力を使って対応すべき業務を丸投げできるため、家賃保証を利用すれば本業や趣味、家族との時間を減らすことなく収入を増やせます。
特に、滞納者に対する家賃の督促は時間も手間もかかる割に実入りの少ない手続きです。個人所有・個人経営での不動産投資だと、やり方次第で24時間問い合わせやクレームに悩まされる可能性もあります。所有物件が遠方にあり、頻繁に行き来するのが難しいといった場合、家賃保証の利用を検討するのも一つの手です。
家賃保証のデメリット
家賃の見直しや契約の解除が行われる可能性がある
一般的な家賃保証契約は、20年、30年といった長期間の契約になっています。
しかし、実際には数年に一度家賃保証会社側が自由に家賃の見直し等をできる内容になっているため、「景気が良くないから」「思ったより入居者が集まらないので」といった理由で家賃を引き下げられたり、家賃保証が打ち切られたりするケースも少なくありません。
最悪の場合、利益にならないからと家賃保証契約を業者側から打ち切られることもあるので、家賃保証を契約していれば一生安泰に暮らせると考えるのはやめておいた方が良いでしょう。
また、家賃保証会社との契約上、家賃は保証会社が決められるようになっていることが多いです。一度下げた家賃は、たとえ家賃保証会社の利用をやめても元の水準に戻すのが難しいため、家賃をコントロールできないリスクも頭の中に入れておきましょう。
各種費用の負担がある
家賃保証サービスを利用するためには、契約時に手数料を支払った上で、さらに毎月得られる家賃収入の一部を業者側へ支払う必要があります。サブリースの手数料は契約する家賃保証会社にもよりますが、多くの場合10%から30%ほどです。
家賃6万円の物件なら、本来6万円入ってくるはずの家賃が4万8,000円しか入ってこないという状態になってしまいます。手数料がある分、個人で賃貸物件を運用した場合より利益が減ってしまいますし、契約によっては入居者に負担してもらう敷金や礼金も持っていかれてしまうため、家賃保証を利用するときはどの程度の売上で黒字になるかをあらかじめ計算しておきましょう。
賃貸物件の運営ノウハウを蓄積できない
家賃保証会社を利用した場合、入居者探しやトラブル対応を業者に任せてしまうため、「不動産オーナーとしての経験・ノウハウ」を蓄積できません。残念なことに、家賃保証が倒産したり急激な業績の悪化を理由にサブリースの契約を打ち切られたりする場合もあります。そもそも、不動産は古くなるにつれて資産価値が減っていき、賃貸としての運用が困難になっていくものです。何のノウハウもない状態で物件を手元に戻され、気づいたら入居者もいなくなってローンの返済に頭を悩ませることになったという不動産オーナーも少なくないため、将来のことを考えると賃貸経営のノウハウを学んだうえで利用したほうが良いでしょう。
家賃保証がなくてもマンション経営は可能
家賃保証は、賃貸経営の知識や時間がなくても空き室リスクを抑えつつ副収入を得られる便利なサービスです。
ただし、知識や経験がなくてもマンション経営は可能です。空き室リスクを飲み込む覚悟があれば、入居者探しや家賃の回収等を不動産の管理会社に委託するという方法を使えます。不動産のオーナーとして継続的な勉強が必要ですし、管理会社を見極める手間もかかりますが、成功すれば家賃のほぼ全額が自分のものになります。
家賃保証会社を利用する際の注意点
家賃保証はマンション経営の知識がない方にとって頼りになるサービスですが、
- 家賃の決定権がない
- 数年単位で家賃の見直し(引き下げ)が可能
- 業者側から一方的な解約ができる
などオーナー側が不利な契約内容になっている場合があります。どれだけ営業トークが優れており、担当者の説明が丁寧でも、最終的には「契約書に書いてあります」といわれてしまえば法的に争えません。サービスを利用するときは、契約書を読み込んで自らに不利な内容がないか、どのようなリスクがありえるのかを理解した上で署名するよう心がけましょう。
まとめ
不動産投資における家賃保証は、経営ノウハウを蓄積するのが難しかったり家賃設定の権限を業者に握られてしまったりとリスクの多いサービスです。
しかし、一方でマンション経営最大のリスクである空き室を心配する必要がないなど、運営手法として非常に優れたサービスでもあります。
重要なのは使い方なので、まずは個人で投資を始め、慣れてきたら家賃保証の利用を検討してみましょう。