サラリーマンとして会社で働きながら不動産投資をする場合、気になるのが「サラリーマン大家は会社の副業規定違反になるのか」という点です。政府は副業を積極的に推進していますし、プライベートに何をするかは本人の自由ですが、会社員として職場で余計な波風を立てたくないと感じるのは当然のこと。
そこで、この記事ではマンションを中心とした不動産投資が会社の副業規定に引っかかるのか、具体的にどの程度の物件を所有していると「副業」扱いになるのかなどを解説します。
目次
副業禁止規定がある会社は少なくない
政府によって副業・兼業が後押しされている関係もあり、昨今の日本では気兼ねなく副業できる企業も少しずつ増えてきています。
しかし、実際のところ、副業禁止規定を設けている会社は少なくありません。なぜなら、副業自体を認めても、多くの場合企業側には特にメリットがないからです。むしろ、副業をする社員が増えた結果、睡眠時間が減ったり疲労が残ったりすると、本業の売上や生産性が下がってしまいます。「避けられるトラブルは避けておきたい」といった事情から、就業規則で副業を禁じている企業は多いのです。
なお、会社によって就業規則の内容は違うため、不動産投資が規則に引っかからないかどうか、一度、自社の就業規則を確認しておくことをすすめします。
不動産投資は副業規定に引っかからないのか
結論からいうと、不動産投資は副業規定に引っかからないケースが多いです。副業を禁じる会社が恐れているのは、労働時間の増加によって本業の能率が下がってしまうこと。つまり、「退社後に飲食店やコンビニでアルバイトをする」「土日に派遣労働をする」といった、サラリーマンの「時間」と「体力」を使う仕事を想定しています。
その点、不動産投資では、マンションの管理業務をプロに委託可能です。実務を他社に任せていれば、本人の時間や体力は削られません。また、そもそも不動産投資は資産運用の一種です。人によっては、親族から相続したり贈与されたりした物件をそのまま運用している場合もあります。本業に支障が出ていなければ、会社側から個人が所有している資産の運用について口を出されることはないでしょう。
副業扱いになる基準は5棟10戸以上
ただし、「たまたま所有している収益物件を運用している」場合はともかく、「明らかに事業規模で不動産投資をしている」場合は、副業として扱われることがあります。趣味やプライベートの範囲なのか、それともれっきとしたビジネスなのかを分ける一つの基準が、「不動産を5棟10戸以上所有している」かどうかです。
5棟10戸という基準は、所得税法に関する政府の見解を示した資料、「所得税基本通達・法第26条の9」で定められています。簡単にいうと、「他人に貸し出す不動産を5棟以上、または10戸以上持っている場合は、趣味ではなく仕事だと判断すべき」という考え方です。
代々複数の不動産を受け継いでいたり、不動産投資ローンを使って物件数を増やして投資を拡大したりすると、副業禁止規定に引っかかってしまう可能性が高いのです。
サラリーマンが不動産投資に向いている理由
サラリーマンにとって、マンション不動産投資はおすすめ度の高い副業の一つです。不動産投資の場合、管理会社に業務を委託してしまえば、オーナーとして入居者の相談や問い合わせに対応する必要がありません。本業に影響が出づらいだけでなく、サラリーマンとしての社会的な信用や安定した収入が、ローン融資の審査でも有利にはたらきます。
不動産の赤字は本業と通算できるため、もし副業で所得がマイナスになっても、その分を本業の所得税や住民税を節税できるのもポイントです。少ない労力で安定的な収入を得やすいという意味で、マンション不動産投資はサラリーマンに向いています。
サラリーマン大家をやるときの注意点
サラリーマン大家を行う場合は、
- 副業に熱中しすぎない
- 物件の管理を業者に委託する
- 年間20万円以上の利益が出ている場合は確定申告をする
ことを意識しましょう。サラリーマン大家にとって、もっとも避けたいのは副業に時間や労力をかけすぎて、会社の立場が危うくなることです。「資産を持っている」ことで周囲の人間に目をつけられたり、足を引っ張られたりする場合もあるので、職場の人には不動産投資していることを黙っておくのが得策です。
まとめ
所有している投資用物件の数が事業として認定される「5棟10戸未満」であれば、マンション投資は個人的な資産運用です。副業禁止規定のある会社で働いていても、罰則を受ける心配はないでしょう。
ただし、副業をしていることが会社の人に知られたり、確定申告等の手続きをおろそかにしたりすると、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。幸い、サラリーマン大家として必要な業務の多くは管理会社に委託できるので、管理会社や不動産会社の協力を受けながら不動産投資を始めることをおすすめします。