マンション投資は、物件を個人名義で取得するのか、それとも法人名義で取得するのかによって、納めるべき税金の種類や金額、投資の手間などが変わってきます。
そこで重要なのが、自分に合った投資の名義はどちらかを判断できるようになることです。
今回はマンション投資における法人名義・個人名義それぞれのメリットやデメリットをお伝えします。
マンション投資は法人名義と個人名義どちらも利用が可能
マンション投資は、法人名義と個人名義どちらでも利用可能です。
両者の違いは、マンション投資を会社の事業として行うのか、それとも個人の副業として行うのかという点。法人化すると法人税を納めたり毎年決算を行ったりする必要があるため、投資以外の手間が増えます。法人にすべきか個人名義にすべきかについては、投資家次第です。
法人名義のメリット・デメリット
赤字を最大10年繰り越せる
個人の場合は3年ですが、法人化すると投資事業の赤字を最大10年繰り越せます。マンション投資では、「減価償却」といって不動産の購入代金を数年かけて少しずつ経費にしていくので、「家賃で手元のお金は増えているが、書類上は赤字」という状況になりがちです。会社の業績が赤字なら法人税等も不要なので、マンション投資で得たお金を貯めて次の投資に回すといった戦略も取りやすくなります。
売上が一定を越えると法人税が所得税よりも安くなる
年間の収益が一定を越えると、所得税より法人税が安くなる点も法人名義で投資をする大きなメリットです。例えば、資本金1億円以下の法人税率は最高23.20%ですが、個人に対する所得税率は最高45%。実際にはもっと複雑ですが、基本的にマンション投資収益が増えれば増えるほど、法人名義にしておいた方が税の負担は軽くなります。
法人名義で様々な経費を利用できる
マンション投資用の法人なら、出張費の会社規定を作って投資物件の内覧にかかる交通費を会社負担にしたり、自分を会社の社員や役員にして社会保険に加入したり、利益の一部を退職金として積み立てておいたりできるのも、法人名義のメリットです。福利厚生施設や保険の契約などもできるので、ある程度の売上を見込めるなら法人名義の方が得をします。
法人の設立・運営にお金がかかる
法人名義でマンション投資を始める場合、法人の設立費用として数十万円、さらに毎年赤字であっても法人住民税の一部である7万円の納税が必要です。社員を雇っていれば給与や社会保険料も負担します。マンション投資を始めた直後で収益が安定していない場合、法人の設立・運営費用が負担になってくるため、投資の規模が小さいなら無理に法人化しない方が良いでしょう。
勤め先の副業禁止規定に引っかかる可能性がある
法人化すると、勤め先の就業規則に副業禁止規定に引っかかる場合があります。個人レベルの投資はビジネスではないため、副業禁止の企業でもマンション投資物件の名義が個人なら副業扱いになりません。
しかし、法人化すると投資を事業として行っていることになるため、副業禁止規定に抵触してしまう恐れがあるのです。会社によって副業禁止に対する罰則の重さは違うので、法人化を検討する場合は勤め先の就業規則をチェックしておきましょう。
個人名義のメリット・デメリット
マンション投資を個人名義で行うメリットは、損益通算できることです。個人名義だと、投資の赤字を本業の所得から差し引き、本業の所得税や住民税を節税することができます。
また、法人の設立や運用に必要な手続きをしなくて良いため、気軽に投資を始められるのも大きな魅力です。
ただ、所有する物件数を増やしたり高額なマンションに投資できるようになったりして収益が増えると、同じ投資規模の法人より税金が高くなってしまうというデメリットも存在します。
法人名義を検討した方がいいケース
法人名義でのマンション投資を検討した方が良いのは、以下のようなケースです。
- 本業が自営業で法人化の恩恵を受けたい
- 自分の法人を持っていて大規模に投資する予定がある
- どんどん投資の規模や収益を伸ばしていきたい
基本的には、ビジネスとして大規模にマンション投資を進めていきたい場合に法人化すると良いでしょう。
副業目的ならば個人名義がお得
あくまでも副業、不労所得を増やしたいという目的でマンション投資に興味を持っている場合、個人名義での投資をおすすめします。初めての投資だと、設立費用や法人運営のコストが大きな負担になるからです。投資が上手くいけば将来的に法人化するという手もあるため、まずは小規模なマンション投資を個人名義で始めましょう。
まとめ
マンション投資物件は、個人名義でも法人名義でも所有できます。
どちらにもメリットはあるものの、法人名義で投資を行うメリットは、ある程度の物件数や大きな売上があって初めて得られるものなので、副業目的なら個人名義で投資をするのがおすすめです。
最初から大規模な投資をできる人は限られます。まずは投資の経験を積むことを重視して、個人名義で最初のマンション投資物件を手に入れましょう。