マンション投資では、運用する物件の用途等によって消費税がかかるかどうかが変わります。
普段、何気なく納めている消費税ですが、2022年時点での税率は10%。売り上げの10%を税金として納めるのか、それとも手元に残しておけるのかの違いは決して無視できる差ではありません。
マンション投資の税負担を抑えるためには、投資と税の知識が必要不可欠です。この記事では、マンション投資における消費税の扱いと、消費税がかかるかどうかの判断基準について解説していきます。
目次
マンション投資の消費税について
マンション投資において、消費税が発生するのは「物件購入」と「家賃収入」の二点です。
物件購入時に支払う消費税はマンション代金の一部として支払い、家賃収入の消費税は受け取った家賃の一部を後日国へ納税することになります。
ただし、国が定めたルール上、「居住用の家を他人に貸して得る家賃収入」に消費税はかかりません。納税が必要なのは、オフィスや倉庫など事業用の物件として賃貸する場合です。消費税の課税対象になるマンション投資をしているのに、消費税の申告と納税手続きをしなかった場合は脱税になるので注意しましょう。
マンション投資で非課税にするためのポイント
住宅として運用する
マンション投資で受け取る家賃収入の消費税を非課税にするポイントは、マンションを「住宅」として賃貸することです。できれば、入居者と賃貸借契約を交わす際、契約書に「居住用」など物件の利用目的を明記しておきましょう。
「そんなことわざわざ書いていなくてもわかるだろう」と考えるかもしれませんし、実態として住居利用されていれば非課税になりますが、契約した部屋をどう使うかは入居者次第です。オーナー側は居住用の賃貸物件としてマンションを貸したのに、借りる側がオフィス・倉庫・店舗として使うと、居住用とはみなされず消費税を納める必要が出てくるので、水掛け論を避けるためにもできれば文書化をおすすめします。
1ヵ月以上の単位で賃貸する
マンション投資を住宅用途で運用することに加えて、必要になってくるのが契約の利用期間。一般的に、引っ越しは数年に一度の頻度で起きるイベントです。賃貸借契約が1ヵ月未満と極端に短い場合、そこに住んでいる、住むために入居したと主張しても説得力がありません。そのため、マンション投資をするなら、最低でも1ヵ月以上住み続けてもらう必要があります。
マンション投資において課税対象となる判断基準とは
マンション投資で消費税を納めることになるのは、「事業用」で貸している物件の家賃収入が「年間1,000万円」を越えること。事業用とは、たとえばマンション投資物件の一室をオフィス・倉庫・店舗として利用しているケースです。
また、たとえ居住用でなく事業用でマンション投資物件を運用していても、年間の売り上げが1,000万円を越えていなければ消費税を納める必要はありません。
なお、住宅として運用している物件に関しては、年間の家賃収入が2,000万円あっても1億円あっても消費税非課税です。
マンション投資でかかる消費税の計算方法
マンション投資の消費税額は、「不動産投資をするために使った経費」に含まれる消費税から、「不動産投資で得た収入」に含まれる消費税を差し引いて計算します。
ただ、使ったお金と受け取ったお金を個別に細かく計算するのは大変なので、売上高が5,000万円以下で税務署に届け出を出せば、以下の計算式だけで納税額を計算可能です。
・(年間の投資売上×消費税率10%)-(年間の投資売上×みなし仕入率40%×消費税率10%)
仮に、マンション投資で得た課税対象の家賃収入が4,000万円なら、
・(4,000万円×10%)-(4,000万円×40%×10%)=240万円
が消費税の納付額となります。
マンション投資における消費税還付について
2020年10月までは、マンションを買うときに支払った消費税より、家賃の一部として預かった消費税が多い場合、納め過ぎている消費税を還付してもらえました。居住用途で運用しているマンションの家賃収入は非課税、0%なので、マンション購入時に支払った消費税10%全額還付を受けられたのです。
しかし、税制の変更によって、購入額1,000万円以上の物件はたとえ住宅用途でも消費税の還付を受けられなくなりました。
事業用のマンション投資物件を買う、1,000万円未満の物件を買うなど回避策もありますが、難易度が高くデメリットもあるため、誰にでもおすすめできるわけではありません。消費税の還付を重視するのか、消費税非課税で投資するのか、慎重な判断が必要です。
まとめ
マンション投資では、不動産を事業用途で貸し出し、事業用の家賃収入が1,000万円を越えると消費税を納める必要があります。
ただし、同じ物件でも用途が住居なら家賃収入に消費税はかかりません。度重なる税制の改正によって、物件購入時に支払った消費税の還付も受けづらくなっています。
所得税を節税できるかどうかの差は大きいので、マンション投資をするならできるだけ消費税非課税の取引を心がけましょう。