マンション投資で損失を出さないようにするためには、投資した資金を回収できるかどうかが重要になってきます。極端な話、マンション投資につぎ込んだ自己資金を回収できていれば、物件を売っても大きな赤字を出すことはないからです。また、何年投資を続ければ資金を回収できるか分かっていると、「○年後に○万円貯めて次のマンション投資に回そう」といった長期的な投資の戦略も立てられます。
今回は、マンション投資に使った資金を回収する期間の目安や、回収期間のシミュレーション方法等を押さえていきましょう。
マンション投資はすぐに回収できるものではない
マンション投資にかけた資金は、通常1年2年で回収できるようなものではありません。なぜなら、マンション投資では、家賃収入からローンの返済や管理費・修繕積立金等の支払いもする必要があるからです。不動産の家賃は月々数万円前後ですが、マンション投資の自己資金は数百万円を越えることも珍しくはありません。一戸あたり数万円の収入から必要経費を払い、残ったお金を自己資金の回収にあてることになる以上、回収には年単位の時間がかかってしまいます。
回収期間の目安は5年から10年
マンション投資の回収期間は、おおよそ5年から10年を目安にするのがおすすめです。
回収期間は、短すぎても長すぎても良くありません。たとえば、マンション投資の回収期間を短縮する場合、月あたりの利益を増やす必要があります。しかし、不動産の維持費や管理費は基本的に一定です。利益を増やすためには家賃を上げることになりますが、家賃にも地域の相場があるので、同じような物件が他にもある中で家賃を値上げすると結局入居者を集められなくなってしまいます。
一方、回収期間を20年30年と長く設定してしまうのも問題です。
回収期間が長いということは、入ってくる家賃に対して経費が高すぎるということ。儲からない物件を長く持っていると、いずれ訪れる大規模修繕工事で大きな出費を強いられ、さらに利益が少なくなってしまうため注意が必要です。適切な回収期間の設定は、儲かる見込みの薄い物件への投資を回避するという意味でも役に立ちます。
回収期間を短縮する方法とは
頭金を減らす
マンション投資の回収期間を短くしたい場合、一番わかりやすい方法が頭金を減らすことです。ローンを組む際に自己資金を500万円投入するのではなく、250万円に抑えれば回収期間は半分になります。また、自己資金比率を下げるという意味では、フルローンでマンション投資物件を購入するのも効果的です。
ただし、ローンの割合が大きいと利子の負担が増えますし、返済の難易度も上がるため、どこまでリスクを取れるか考えた上で頭金の額を決めましょう。
利回りが良く賃貸需要を期待できる物件に投資する
状態が良くリフォームの必要がなかったり、すでに入居者がいて今後も高い入居率を維持できそうだったりする物件は、利益率が高いので回収期間を短縮しやすいです。
逆に、修繕費がかさんだり空室率が高かったりする物件は自己資金の回収すらできない可能性があるので、確実に投資したお金を回収するためにも優良物件を見つける必要があります。
リスクを考慮した回収期間の選定が重要
不動産投資は、必ずしも最初に計画した通りの利益率・入居率で進められるようなものではありません。空室が出ることもあれば、入居者が設備を壊してしまったり、経年劣化で家賃を下げることになったりする場合もあるからです。余裕のない計画は、トラブルが起きた瞬間に破綻します。そのため、一定の空室率をかけて年間の家賃収入を計算したり、回収期間を毎年見直したりして回収期間にある程度の余裕を持たせることも大切です。
回収期間のシミュレーションのやり方
マンション投資の回収期間は、投資した金額に対して年間何%のリターンがあるのかを示した「CCR」という指標からシミュレーションできます。CCRの計算方法は、以下の通りです。
・CCR=投資する金額÷一年間の投資収益(12ヶ月分の家賃-12ヶ月分の経費)
たとえば、500万円の自己資金で家賃7万円のマンション投資物件を購入し、管理費や修繕積立金、固定資産税といった維持費に年間35万円支払う場合のCCRは、以下のようになります。
・500万円÷(84万円-35万円)=10.2%
上記物件なら、年間10.2%の自己資金を回収できるということです。自己資金100%を回収するまでの期間は「100%÷CCR」で計算できるため、この場合9.8年、つまり約9年と10ヵ月で500万円を回収できるという見通しを立てられます。
まとめ
マンション投資の使った自己資金は、5年から10年で回収するのが望ましいです。
ただし、空室や災害による収益の減少・経費の増大といったリスクがある以上、計算通りに投資が進む保証はどこにもありません。
余裕のない投資計画は、一つのトラブルで破綻してしまいます。トラブルに対応する余裕を持たせるためにも、マンション投資物件は需要の安定性や収益性を重視して選びましょう。