団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの債務者が万一、死亡したり高度障害状態になったりした場合にローン残高を保険金で完済するための保険です。
民間金融機関の提供する住宅ローンでは一般的に団信への加入が義務付けられていますが、不動産投資用のローンの場合は加入が任意のものも見られます。
団信には、金融機関やローン商品によってさまざまな種類があります。今回は、その種類や保険料の目安、メリットとデメリットなどをご紹介します。詳細を把握して、団信に加入するか、その他の生命保険で備えるかなどを検討してください。
目次
団体信用生命保険(団信)は3種類
団信には、大きく分けて3つの種類があります。
いずれも金融機関や商品によって細かい条件が異なることもあるので、加入時にはしっかりと細部までチェックしましょう。
通常の団体信用生命保険
一般的に、契約者が返済期間中に死亡もしくは高度障害状態になった際に保険金が支払われます。最もスタンダードな団信だと考えていいでしょう。
高度障害状態には、両目の視力や言語機能を失って回復の見込みがない状態、両腕または両足の手首・足首から先を失った状態などが含まれます。
三大疾病特約付団体信用生命保険
こちらは、その名の通り「がん・脳卒中・急性心筋梗塞」の三大疾病に対する特約が付けられた保険です。死亡・高度障害状態に加え、三大疾病のいずれかを発症し、所定の状態になった場合に保険金が支払われます。
八大疾病特約付団体信用生命保険
八大疾病とは、上記の三大疾病に「高血圧症・糖尿病・肝硬変・慢性腎不全・慢性膵炎」の生活習慣病5種類を加えたものをいいます。
いずれかを発症し所定の就業不能状態になった上で、一定期間以上ローン返済ができない状態が続いた場合に保険金が支払われる特約が付いた保険です。
団体信用生命保険の保険料の目安
先ほどご紹介した3種類のうち、通常の団信の保険料はローンの金利に含まれており、金融機関が支払うケースがほとんどです。そのため、通常の団信を選択するのであれば、あまり保険料を気にする必要はないでしょう。
三大疾病・八大疾病の特約が付いた団信の大半は、追加で保険料を支払わなければなりません。金利に上乗せする形で支払うものが一般的で、0.1~0.3%程度、上乗せされるものが多いです。
なかには、より特約が充実した団信などもあり、その場合は上乗せ分の金額がさらに上がることもあります。
団体信用生命保険に加入するメリット
団信に加入する最大のメリットは、万一の際に住宅ローンの返済義務がなくなる点です。もし、自身が死亡したり高度障害状態になっても、ローン返済に関して家族に負担をかける心配はありません。
また、生命保険で備えた場合の保険金は家族(保険金受取人)に支払われるため、ローンの繰り上げ返済をしたり月々の返済を続けたりといった手間がかかります。一方、団信の場合、保険金は借入先の金融機関に直接支払われるため、ローン返済の手間も省けます。
また、生命保険であれば満期などによって一時金が支払われた場合には所得税の課税対象となりますが、団信の場合は保険金が支払われても所得税は課税されません。生命保険と団信のどちらで備えるか迷っている方は、この点も参考にしてみてください。
団体信用生命保険に加入するデメリット
先ほど団信の保険金には所得税が課税されないことをご紹介しましたが、逆に生命保険であれば適用される保険料を支払ったことによる所得税の控除は団信では受けられません。 さらに、総支払額が高くなる傾向があり、同内容の生命保険に加入した方が保険料が安く済む場合も多いので、しっかりと比較検討する必要があります。
さらに、生命保険であれば契約後も状況に応じて補償内容を変更したり解約したりすることができますが、団信は基本的に契約後の変更はできません。家族構成の変化などに合わせて補償金額を変えるなど柔軟に対応したい場合は、団信以外の生命保険に加入することをおすすめします。
また、特約を付けない場合は補償内容が薄い点や、持病がある場合に加入できないことがある点にも注意してください。
持病によって団信に加入できない場合は、審査基準の緩和された「ワイド団信」を利用する、配偶者名義でローンを組む、団信への加入が任意の不動産投資ローンを利用するなどの対策が必要です。
団体信用生命保険の保険料が支払われない場合もある
団信以外の生命保険でも同じことがいえますが、死亡・高度障害状態に該当すればいつでも保険金が支払われるというわけではなく、細かい条件が定められています。
金融機関や商品により異なりますが、一般的には
- 故意による死亡や障害
- 団信加入前の疾病や事故が原因の場合
- 加入時の告知事項に故意または重大な過失による虚偽があった場合
- 戦争などの変乱の場合合
などのケースでは保険金が支払われないことが多いです。加入時に条件をしっかり確認しておきましょう。
まとめ
不動産投資はローンを含む初期費用が多くかかる分、万一の際に家族に負担がかかることを心配する方も多いのではないでしょうか。さまざまなリスクを事前に想定し、保険に加入して備えることをおすすめします。
どのような保険に加入するか迷った際には、今回ご紹介した団信の種類や保険料の目安、メリット・デメリットなどをぜひ参考にして、自身に最適なものを選んでください。