投資においてよく使われる「レバレッジ効果」。小さな力で重いものを持ち上げられる「てこの力」に例えられる言葉です。
この記事では、レバレッジ効果とは具体的にどういうことなのか、不動産投資の場合にはどのような投資効果があるのか、レバレッジ効果を活用する場合の注意点などを、事例を交えて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
投資用語“レバレッジ”とは
「レバレッジ」あるいは「レバレッジ効果」とは、投資全般で用いられているワードです。てこが小さな力で重いものを持ち上げるように、少ない資金で多額の取引を行える仕組みを指します。
特に株式投資の信用取引やFXでよく活用されています。たとえばFXにおいて2万ドル分の投資を行いたい場合、通常は200万円(1ドル=100円の場合)が必要ですが、20倍のレバレッジを効かせることで20分の1である10万円の元手で投資を行えます。
不動産投資におけるレバレッジ効果
不動産投資においても、「レバレッジ効果」といえば、少ない自己資金で大きな投資効果を得ることを指します。
具体的には、自己資金だけでなく住宅ローンなど金融機関からの融資をプラスし、自己資金だけでは購入できないような大きな物件を購入することをいいます。当然ながら大きな物件なので上手く運用できれば利益も多く、多大な投資効果を得ることができるというわけです。
ただし、FXなどの場合も同様ですが、レバレッジ効果を活用して大きな投資を行った場合、投資が成功すれば少ない元手で大きな利益を得られますが、運用が上手く行かなければ自己資金以上の損失が出るケースもあることには注意が必要です。
レバレッジ効果を事例で解説
ここまでレバレッジ効果の意味などを紹介しましたが、ここからはレバレッジ効果を活用した不動産投資について、事例を交えてよりわかりやすく解説していきます。
自己資金が1,500万円・利回りが10%とした場合に、自己資金のみでの投資とローンによってレバレッジ効果を活用した場合を比較してみましょう。
※ローンの金利分の支払い額は融資額×金利の利率で計算しており、実際とはやや異なります。
※修繕費などの支出は考慮していません。
自己資金1,500万円のみで投資をした場合
自己資金のみで投資をする場合、当然自己資金以上の価格の物件は購入できません。この場合、自己資金が1,500万円なので物件価格も1,500万円です。
利回り10%で年間利益を計算すると、以下のようになります。
物件価格1,500万円×利回り10%=年間利益150万円
自己資金に加え4,000万円の融資を受けた場合
次に、自己資金1,500万円に加えて金利3%で4,000万円の融資を受けて投資をする場合の利益を計算してみましょう。この場合、自己資金1,500万円と融資4,000万円を合わせて5,500万円の物件を購入することができます。
この条件で、先ほどと同じく利回り10%で年間利益を計算すると以下のようになります。
物件価格5,500万円×利回り10%=年間利益550万円
ただし、融資を受けているのでその金利分の120万円は利益から差し引いて考える必要があります。
年間利益550万円-金利120万円=実質年間利益430万円
自己資金のみで投資をした場合の利益は150万円でしたが、融資を受けることで利益がプラス280万円の430万円になります。これが、不動産投資におけるレバレッジ効果の仕組みです。
レバレッジで損失が出てしまう場合
レバレッジ効果を活用して投資をした場合、運用が上手く行かなければ大きな損失が出るケースもあるということは先ほどもお伝えしました。このように、レバレッジ効果によって逆に損失が出てしまうことを「逆レバレッジ」といいます。
逆レバレッジを防ぐためにも、どのような場合に損失が出てしまうのかしっかりと確認しておきましょう。
その1:金利が高すぎる場合
たとえば、先ほどの事例では金利を3%としていましたが、もし金利が14%だった場合には金利分の支払いが560万円となり、年間利益の550万円を超え赤字となってしまいます。
その2:利回りが低すぎる場合
こちらも先ほどの事例をもとに考えてみましょう。もし利回りが2%しかなかった場合には年間利益が110万円となり、金利分の120万円を下回り、やはり赤字になってしまいます。
また、利回り10%を見込んでいたものの実際には2%しか達成できないなど、期待していたよりも利回りが低くなってしまう場合もあります。レバレッジ効果を活用する際には、このようなリスクもしっかりと考慮しておきましょう。
レバレッジ効果を活用するためのコツ
レバレッジ効果を上手く活用するには「損失が出てしまうケースを防ぐこと」、つまり金利を低く、かつ利回りを高くすることが大切です。
金利を低く抑えて融資を受けるには、付き合いのある金融機関と交渉する、不動産業者の紹介を受けて交渉してもらう、さまざまな金融機関から金利の低いところを探すなどの手段が考えられます。
また、利回りを高くするには、良い物件を根気よく探すことが最も重要です。その際、実際に期待した入居率を保てるかどうかや将来的な家賃下落の可能性なども考慮しておく必要があります。
まとめ
レバレッジ効果は、上手に活用すれば少ない資金で多額の利益を生み出すことができると同時に、多大な損失を生んでしまう危険もはらんでいます。
このことを念頭に置きつつ、今回ご紹介した事例やコツなどを参考に、上手く活用してください。