マンション投資で担保価値が重要になる理由

マンション投資において物件の担保価値が重視される理由は、担保価値の高低によって融資の受けやすさが変わってくるからです。金融機関によって提供されている不動産のローンは、元金に加えて利子の返済ができて初めて利益が出るというビジネスモデルになっています。そのため、「返済できる能力の低い人」や「担保として差し押さえたとき、売っても元金を十分に回収できない物件」は融資をしてもらえません。

担保価値が高いと融資される可能性が高い

担保価値の高い物件は、融資の審査に通りやすいという強みもあります。ローンの融資上限は、個人の返済能力＋担保評価の合計額です。たとえば、8,000万円で販売されている物件の担保評価が6,000万円なら、投資家の返済能力が2,000万円あれば融資を受けられます。しかし、この物件の担保評価が4,000万円だった場合、投資家の返済能力も4,000万円必要です。投資家側に2,000万円の返済能力が必要な物件と4,000万円の返済能力が必要な物件、どちらの方が融資を受けやすいかはいうまでもないでしょう。

また、担保評価の高い物件は、自己資金を抑えた投資が可能です。たとえば、ある投資家が2,000万円の返済能力を持っているとします。販売価格4,000万円・担保評価2,000万円のワンルームマンションに投資すると、所有できる資産は一部屋だけです。
しかし、販売価格3,000万円・担保評価2,000万円の物件と販売価格5,000万円・担保評価4,000万円の物件なら、個人の返済能力が同じでもマンションを二部屋購入できます。複数の物件の投資をしてリスクを分散したいと考えているなら、販売価格だけでなく担保評価のチェックも必要です。

マンション物件の担保評価の方法

マンション物件の担保評価は、主に「原価法」とよばれる計算手法で求めます。
原価法は、「仮に今同じ物件を建て直したら、経年劣化を差し引いていくら必要なのか」を計算することで、時価を求めるやり方です。土地の評価額は計算が簡単で、「路線価」や「公示価格」といった国によって調査・公表されている土地の価値に、面積をかければわかります。

一方、建物の場合は、再調達価額と呼ばれる建築費の目安に建物の面積をかけ、そこから経年劣化分の調整が必要です。たとえば、書面上47年で資産価値がほぼゼロになるマンションの築年数が10年なら、寿命が約79％残っているとわかるので、建築価格にこの数値をかけるというかたちです。

販売資料を見るときにチェックするべきところ

マンション投資物件の販売資料を見るときは、

• 実質利回り
• 周辺マンションの販売価格と家賃相場

を確認しましょう。担保評価の高い物件は、要するに中古で高く売れる可能性の高い物件です。マンション投資物件市場では、当然利益率の高い物件の方が人気を集めます。広告に掲載されている表面利回りでは、実際にどの程度儲かる可能性があるのかはわからないので、管理費・修繕費・空き室率等を差し引いた実質利回りの高い物件を探しましょう。

また、同程度の条件で販売されているマンションと価格を比較したり、家賃相場を見比べたりすることも重要です。隣人トラブルなどがあって安い、表面利回りを高く見積もるために家賃を高く設定しているなど、担保評価の低い物件は価格や家賃設定に問題があるケースも少なくありません。

担保評価が高い傾向にあるマンションの構造の特徴

以下のような構造のマンションは、担保評価が高い傾向にあります。

• 鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート造
• 立地が良い
• 築年数が浅い

マンションやアパートには鉄骨造のものもありますが、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションは法定耐用年数が長く、資産価値が落ちづらいのでおすすめです。

また、立地の良さや築年数は単純に需要の高さにつながります。販売価格も高くなりますがその分、担保評価も高く、担保評価の低い物件より少ない自己負担で購入できる場合があるため、積極的にチェックしましょう。

まとめ

マンション投資物件を探すときは、販売価格や利回りだけでなく、担保評価の高いものを選ぶのがおすすめです。
担保評価の高い物件は融資が組みやすく、少ない自己資金で購入できるので、無理なく複数の不動産に投資できます。

ただ、担保評価は金融機関が内部で計算する値なので、正確な数値がわかりません。販売資料や周辺の不動産相場、実質利回り等を調べて、担保評価の高そうな物件を見極められるようになりましょう。