マンション投資を行う際、多くの方を悩ませるのが新築と中古どちらを選ぶべきかという問題です。
高額な代わりに運用可能期間の長い新築物件と、建て替えが必要になるものの価格の安い中古物件、どちらに投資するかで予算や投資の戦略が大きく変わってしまいます。
この記事では、マンション投資において新築マンションと建て替えの必要な中古マンション、それぞれのメリットや中古物件選びのポイントを押さえていきましょう。
新築物件にマンション投資をする理由
運用可能期間が長い
新築を選んでマンション投資をする理由として、大きいのは運用可能年数の長さです。一般的に、鉄筋コンクリート造のマンションは47年で法定耐用年数を迎え、「55年-築年数」のローンを組めるとされています。
単純に考えて、築20年のマンションと新築マンションなら新築の方が20年長く賃貸物件として運用できるため、物件一つで稼げる最大収益額が大きくなるのです。
高い賃貸需要を見込める
新築志向が強い日本では、新しい物件ほど高い賃貸需要や分譲需要を持っています。賃貸に限定しても、新築マンションは設備や共用部、間取りが新しいため若者や働き盛りの世代から人気です。賃貸マンションも分譲マンションも入居したい、買いたいという人が出てこないと利益にはつながらないため、「新築」というブランド価値に投資する価値は決して小さいとはいえません。
中古物件を選ぶデメリット
中古マンションならではのデメリットが、住宅・設備の劣化です。中古物件の場合、壁のヒビ割れから雨水が侵入し、コンクリート内部の鉄筋が腐食している、給排水管が劣化しているといった不具合が隠れている場合があります。
外から見てもわからない不具合の有無を判断するためには、プロに検査を頼んだり、多数の物件を見て問題箇所を見極める能力を身に着けたりするといった対応が必要不可欠です。
「安いから」「一見きれいだから」という理由で投資を決めると、思わぬ修繕費や維持費で後悔するケースも少なくありません。そのため、中古マンションに投資する場合は「建て替え」「修繕」「売却」といった出口戦略を立てられる物件を探すことが重要です。
「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」改正による影響
区分所有法による建て替えルールは、一旦入居者が不動産を建築会社などに売却し、工事が終わってから買い戻すという流れになっています。
そのため、「一時的にでも不動産を手放したくない」「売却代金では現在のローンを返しきれない」といった事情から建て替えを嫌がる方が少なくありませんでした。そこで行われたのが、
- 耐震基準を満たさない物件を建て替える場合、容積率が緩和される
- 自分の持ち物のまま建て替え工事ができる
という「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の改正です。
容積率の緩和を受けられるようになったことで、「建て替えで増える部屋を建築会社のものにする代わりに、建築費用の大部分を建築会社に負担してもらう」という建て替えをしやすくなりました。
また、本来なら権利者の5分の4以上の同意があっても敷地・建物の売却はできなかったのですが、法改正によって、少数の反対者がいてもマンションを売却できるようになっています。
あえて中古物件を狙う理由とは
マンション投資において、あえて中古住宅、それも建て替えが視野に入ってくる物件を狙う理由は、建て替えによる資産価値の増加を期待できるからです。
たとえば、3階建て15戸の中古マンションを買い取り、8階建て40戸のマンションに建て替える場合、容積率の緩和で増える25戸分の権利を建築会社に引き渡しても元の15戸は新築価格で運用できます。築古物件よりも新築の方が分譲価格や賃料を高く設定できますし、新築にすれば運用期間も伸ばせるため、長期的に見ると利益を増大させられるのです。
どのぐらいの築古物件が狙い目か
建て替えを視野に入れて築古物件を狙う場合、自己資金がどの程度あるかを考えましょう。
不動産購入時に使えるローンの年数は、「55年-築年数」だとされています。20年ローンで完済できるなら築35年未満の物件を、35年ローン必要なら築20年未満の物件を探すのがおすすめです。
ただし、建て替え時の費用を建築会社が負担してくれるような物件は限られます。「建て替え費用をかけても儲かる立地かどうか」が最も重要なので、築年数よりも立地と賃貸・分譲需要を重視しましょう。
まとめ
マンション投資において、新築にも中古物件にもそれぞれのメリットがあります。
ただし、より長期間投資をし続けるという意味では、耐用限界間近まで運用し、建て替えでさらに長期間投資ができる築古物件が有利です。
ただ、築年数によって、また立地によって建て替えできるかどうかは変わってきます。マンション投資を成功させるためにも、投資をするときはプロのアドバイスを受けつつ物件探しを進めましょう。