マンション投資を成功させるには、出口戦略が大変重要だと言われています。なぜなら、たとえ毎年黒字で推移してきた物件でも、安く売却してしまうと生涯収支がマイナスになる可能性もあるためです。不動産投資の成否(トータルの収益)は、売却するまで確定しません。
出口戦略とは、売却時期や売却金額をイメージしておくということです。可能であれば購入する時点で、出口戦略を考えておきましょう。ここでは一般的に「売り時」といわれる5つのタイミングをご紹介します。
投資マンションの相場が上昇したとき
マンションなどの不動産の価値は市場の影響を大きく受けるので、相場が上昇するタイミングは売り時です。購入価格以上の金額で売却できれば、それまでのキャッシュフロー(現金の収支)で得られたプラスもすべて利益として確定できます。
国土交通省が発表する地価公示価格(2020年1月1日時点)は、2016年から5年連続で上昇していました。しかし2020年7月1日時点の地価は、下落に転落。つまり現在は、あまり売り時とはいえないかもしれません。
実際の売却時には相場を正確に把握するため、エリア内の似た物件についてインターネットなどで情報を集め、信頼のできる不動産会社に相談してみましょう。
十分なキャッシュフローがストックできたとき
毎月のキャッシュフローがプラスで推移すると、利益が積み上がっていきます。その金額が十分にストックでき、売却金額と合計すれば利益が出ると確信できた段階で物件を売却すれば、その不動産投資全体としては利益が確保できます。そうなって初めてその不動産投資は成功だったといえるわけです。
たとえば、1,800万円で購入したマンションで毎年100万円のキャッシュフローが蓄積でき、10年後に1,000万円で売却できたとすれば、単純計算で200万円のプラスが出たということになります。実際の投資では売買契約時の諸経費なども考慮し、正確な収益を計算しましょう。
投資マンションの空室率が上昇したとき
空室率が何らかの外的要因で上昇し、今後下がる見込みがないと思うタイミングも売り時です。
たとえば、大学のキャンパスの近くにある物件で、学生の入居を見込んで単身者用マンションを運営していたのにキャンパスが移転してしまったという場合、入居率が大きく下がることが予想されます。さらに、何か別のプラス要因がなければ今後も大幅な上昇は期待できません。
そうでなくても、周辺の空室率が高まっているエリアでは賃貸物件のニーズそのものが下がっている可能性があります。
このように空室率が上昇して回復が見込めそうにないケースでは、これまでのキャッシュフローの積み上げによって利益が確保できそうな段階で、早めに売り抜けてしまった方が無難です。
場合によっては損を承知で、赤字で売り抜けなければなりません。できるだけそのような事態にならないよう、物件購入前に情報を収集してニーズの把握に努めましょう。
大きなイベントや都市計画の前
たとえば、東京オリンピックの開催決定後、東京の地価は大きく上昇しました。万博やオリンピックなどの大きなイベントの前には、開催地を中心に地価が上昇する傾向にあります。また、駅前の再開発エリアや交通網が整備される予定がある地区などでも、一般的に地価が上昇します。
イベント関連の上昇だと開催後は地価が下落に転じる可能性もあるので、できれば開催直前など価格が上昇しているタイミングで、うまく売り抜けましょう。再開発をしても必ず地価が上昇するとは限らないので、情報収集に努めることが大切です。
大規模修繕の前
RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションは、10年に1回程度の周期で大規模修繕工事が必要となります。この工事には多額の費用がかかるため、その前に手放しても良いでしょう。
分譲マンションでは大規模修繕工事などのメンテナンスのために、修繕積立金を集めています。しかし、それでも費用を賄えず、追加で一時金数十万円を徴収するケースもあるので注意が必要です。
マンションには修繕計画書があるはずなので、管理組合から見せてもらいましょう。また修繕積立金の積み立て状況も、管理組合に聞けば教えてもらえるはずです。それらを照らし合わせ、追加費用の徴収がありそうかどうか、ある場合はいくらくらいになるかといった点を判断しましょう。
追加徴収がない場合、大規模修繕後に売却しても良いでしょう。メンテナンスがしっかりとされている物件であること、見た目がきれいに回復していることなどがプラスの要因として働く可能性があります。
まとめ
ここでご紹介したように、マンション投資を成功させたいなら売却時を見据えた出口戦略を考えておきましょう。できれば購入する段階で、売り時をイメージしておくと失敗しにくくなります。
実際の運営状況を見ながら、売却の時期を当初の計画と変更しても、もちろん構いません。臨機応変に運営し、利益の確保を目指しましょう。