マンション投資をする人は投資用に住宅物件を購入します。投資用に購入した物件であっても、投資家が自分で住むことは可能です。ただし、実際に投資用物件を購入したら、自己居住用にすることはおすすめできません。
投資用物件に自分が住むと、どのような問題が生じるのでしょうか? こちらで、一つずつご紹介していきます。
目次
マンション投資物件に住むことは可能
マンション投資用に購入する物件は住宅なので、投資家が住むことは十分に可能です。空室が長く続いたら、「自分自身が住んでしまえば無駄がない」という考え方もあります。
ただし投資について知識がある人が、その手法をおすすめすることはありません。なぜなら、デメリットがあまりに大きいためです。
また、投資用物件は賃貸需要を見越して購入するため、自分のライフスタイルに合った住宅でないことがほとんどです。間取りや設備仕様などの問題もあるので、自分にとって住みやすい物件を別途探した方が無難です。
投資物件に住む際の問題①ローンが異なる
投資用物件に自分で住むべきでない最大の理由は、ローンの違いです。投資用物件は一般的に、自己資金をできるだけ温存して不動産投資ローンを利用して購入します。このローンは事業性融資であるため、住宅ローンに比べて利息が高く、自分が住むと相対的に損になってしまうのです。
自己居住用に住宅を購入する人は、住宅ローンが利用できます。住宅ローンは対象となる住宅を担保として設定することで、最大35年間(親子リレーローンなど特殊なケースは除く)にわたって、超低金利で利用できる大変有利な融資制度です。2021年2月現在だと、35年間の全期間固定金利でも利息1%台の金融機関が多数見られます。
一方で不動産投資ローンは、借入先によっては利息が3~4%台になることもあります。借入の審査基準(個人の属性や投資用不動産の価値に対するもの)も、住宅ローンより厳しく設定されており、借り入れ自体が拒否されるケースも少なくありません。
しかも、いったん不動産投資ローンとして借り入れた資金を、住宅ローンに借り換えるような契約は基本的にできません。住宅ローン控除(毎年年末時点で住宅ローン借入残高の1%にあたる金額の税額控除を受けられる優遇制度)も対象外となってしまいます。
厳しい審査に通過してせっかく借り入れた不動産投資ローンを、自己居住用の物件に利用するのは、もったいないことなのです。
投資物件に住む際の問題②入居者を退去させなければならない
もし、入居者がいる投資用物件に自分が住もうと思ったら、その入居者を退去させなければなりません。
入居者が拒否すれば、基本的に退去させること自体ができません。家賃を割り引いてあげるなどすれば応じてくれる可能性がありますが、相手次第です。
賃貸物件の入居者は、オーナーよりも立場が弱いとして「借地借家法」という法律で保護の対象とされており、正当な理由がなければその建物に住み続ける権利があるとされています。理不尽な立ち退き請求などによって、入居者が不利益を被らないようにするためです。
自分自身が賃貸物件に住んでいて、オーナーから「自分が住みたいから立ち退いて欲しい」といわれた場合を想像すると、多くの人は納得がいかないのではないでしょうか。自分が所有している物件だからといって、完全に自由に扱えるわけではないということを覚えておきましょう。
投資物件に住む際の問題③節税できない
不動産投資の大きなメリットの一つに、節税効果があります。投資用物件は税法上減価償却の対象となるため、償却期間中は減価償却費を経費計上できます。しかし、投資用物件に自分が住むと、減価償却費が経費計上できなくなってしまうのです。
マンションはほとんどがRC造(鉄筋コンクリート造)ですが、RC造の建物の法定耐用年数は47年間もあります。減価償却費が計上できるかどうかは、コスト面に大きく影響します。
投資物件に住む際の問題④家賃収入を得られない
当然の話ですが、投資用物件に自分が住んでしまうと人に貸し出すことができなくなり、家賃収入が得られなくなります。住宅ローンより金利の高い不動産投資ローンは、家賃収入による利益を見込んで借り入れるものなので、家賃が入らなくなるとキャッシュフローが悪化する可能性が高くなります。
まとめ
ご紹介したように、投資用物件に自分が住むことは可能です。高齢になり賃貸物件の契約が難しくなったときに、不動産投資ローンの返済が終わった投資用物件を持っていれば、将来的に住んでも良いでしょう。
しかし、マンション投資本来のメリットを享受するなら、投資用と住居用の物件はしっかりと分けて考えることをおすすめします。堅実に返済を続けながら規模の拡大を目指しましょう。