不動産投資の利益は、月々の家賃である「インカムゲイン」と、物件の売却益である「キャピタルゲイン」の2種類に分かれます。どちらも利益という意味では同じものですが、投資初心者にキャピタルゲイン狙いの不動産投資はおすすめできません。ただ、できれば不動産を安く買って高く売り、大きく儲けたいと考える人もいるでしょう。
そこで今回は、不動産投資におけるインカムゲインとキャピタルゲインの違い、両者を比較するうえで知っておきたい税金の話、不動産投資家にインカムゲインをおすすめする理由などを解説します。
目次
1.賃貸による継続的な収益がインカムゲイン
インカムゲインは毎月発生する家賃収入のこと
インカムゲインとは、毎月オーナーの手元に入ってくる家賃収入のことです。英語の「income(継続的な所得)」からきている用語で、不動産投資以外の業界でも利用されています。
インカムゲインのメリット
不動産投資におけるインカムゲインのメリットは、何といっても収入・利益の安定性です。例えば、全6戸のアパートを月5万円で運用している場合、満室なら毎月30万円のインカムゲインが入ってきます。空き室にならない限り、何年でも一定の収入が入り続けるのは大きな強みです。
インカムゲインのデメリット
インカムゲインは、利益を増やせるようになるまで時間がかかります。不動産投資でインカムゲインを増やすためには、新たな投資が必要不可欠です。しかし、収益不動産は基本的に高額なので、なかなか増やすことができません。
2.売却による収益がキャピタルゲイン
キャピタルゲインは投資物件を売却して作る利益のこと
キャピタルゲインとは、「所有している投資物件の売却益」です。「capital」は、英語の「資本」を指す言葉。「買ったときより資産価値が値上がりしているため、売ると利益になる」という状態のことを指しています。
キャピタルゲインのメリット
キャピタルゲインのメリットは、成功すれば一度の取引で莫大な利益を得られること。物件ひとつの売却で、数百万円・数千万円の利益を手に入れることも不可能ではありません。
キャピタルゲインのデメリット
一方のデメリットは、「リスクの大きさ」です。基本的に、不動産の価格は安定しています。需要や地価によっておおよその価格が決まる不動産業界では、個人大家が「掘り出し物」と出会える確率はほんの一握りです。値上がりすると見込んで購入した物件の価値が、下がることもあります。成功までに必要なハードルの多さを考えると、投資初心者にはあまりおすすめできません。
3.「個人で運用している物件のインカムゲインの税金」
不動産投資の利益を考える際、重要なのは年間の売上ではなく、利益としていくら手元に残るかです。不動産投資では、ローン返済や物件の維持管理費、税金等を引いた金額が純粋な利益になります。
インカムゲインの場合、「継続的に利益が発生する」ため、給与等と同じく所得税の対象です。所得税は所得が増えるごとに税率も高くなる累進課税なので、年間の所得額に応じて5%から最大45%まで税率も変動します。
4.「個人で運用している物件のキャピタルゲインの税金」
投資用物件を安く買って高く売ることでキャピタルゲインを得ている場合、「譲渡所得税」という税金の対象です。譲渡所得税の税率は、「不動産の所有期間が売却をした年の1月1日時点」で5年を越えているかどうかで以下のように変わります。
所有期間5年以下:短期譲渡所得
- 所得税:30%
- 住民税:9%
※復興特別所得税2.1%ぶんを加えると、合計39.63%
所有期間5年超:長期譲渡所得
- 所得税:15%
- 住民税:5%
※復興特別所得税2.1%分を加えると、合計20.315%
ご覧の通り、短期間で不動産を売買すると税金が高くなり、利益が減ってしまうため注意が必要です。
5.不動産投資はインカムゲインを基礎に考えるのがおすすめ
細く長く稼ぐ利益を求めるインカムゲインと、短期間で大きな利益を狙うキャピタルゲインを比べた場合、不動産投資ではインカムゲイン狙いで物件を運用することをおすすめします。
そもそも、不動産は株やFX、貴金属などに比べて値動きの幅が小さく、専門知識や業界のツテ等がないと大きな利ざやを取れません。短期間で売却すると税金も高くなりますし、何より売却手続きも大変です。
不動産投資の強みは、物件という固定資産を持つことで投資のリスクを抑えられることです。一攫千金を夢見てキャピタルゲインを狙うのではなく、インカムゲインをベースにして、安定した利益を目指しましょう。
6.まとめ
不動産投資で入ってくる利益は、家賃収入を指す「インカムゲイン」と、物件の売却益を指す「キャピタルゲイン」の2種類です。ただ、キャピタルゲインは投資の難易度も高く、収入自体も不安定になりやすいので、初心者にはおすすめできません。
一か八かにかけるより、5年10年と時間をかけてゆっくりと資産を増やし、継続的な収入で投資の規模を大きくしていく方が低リスクなので、不動産投資をするならインカムゲインを基本にしましょう。