マンション投資をするときは、「現代人のニーズに合った物件はどういったものなのか」を常に考える必要があります。
そして、一般人の住宅需要を大きく左右する要素の一つが、マイホームの購入時に大きな補助を受けられる住宅ローン控除という制度です。
この記事では、2022年に大幅に改正された「住宅ローン控除」の変更点をお伝えします。
目次
環境に優しい住宅は控除枠が拡大
住宅ローン控除は、ローンを組んでマイホームを買うと、おおよそ支払ったローン金利と同じくらいの金額が自分の納めた所得税または住民税から戻ってくるという制度です。
あくまでもマイホームを買う方向けの制度なので、マンション投資物件を買うときは使えませんが、住宅ローン控除について知っておくと今後市場でどういった不動産が流通していきそうなのかを推測できます。
そんな住宅ローン控除2022年度の改正点は、環境に優しい住宅に対する控除の幅と上限額が増えたこと。
もともと、住宅ローン控除は「より高性能で長持ち・省エネな住宅はより大きな借り入れまで控除する」という仕組みでした。
しかし、2021年まで高性能住宅として認められていたのは、「認定住宅」「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」のみ。
住宅性能は時代と共に進化します。環境に優しく高性能な住宅は建築費が高くなるにも関わらず、住宅ローン控除の認定基準に入っていないという理由で、一般住宅と同じ控除額だったのです。そこで、2022年度の改正では、既存の認定基準に「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」が追加されています。
また、改正前の住宅ローン控除額は、一般住宅で最大4,000万円、認定住宅で最大5,000万円でした。改正後は、一般住宅で最大3,000万円、省エネ性の高い住宅は4,000万円~5,000万円へ変更されています。一般住宅を選ぶより、予算を引き上げて高性能かつ省エネな住宅を買った方が大きな控除を受けられるという変更です。
所得制限は3000万円から2000万円に引き下げ
住宅ローン控除を始めとした公的な補助は、収入に余裕のない方を税金でサポートするための制度なので、「年間の所得が○万円以上あると利用できない」という所得制限が用意されています。この所得制限に関しては、2022年度の改正によって年間3,000万円から2,000万円に引き下げられています。
ただし、たとえば「相続によって高額な不動産を受け継ぎ、年の合計所得が1年だけ年間2,000万円を越えた」場合、一切住宅ローン控除を受けられないというわけではありません。住宅ローン控除を利用できないのは、所得制限を越えた年だけです。13年ある控除期間の内、1年だけ所得制限を越えている場合、残りの12年は控除を受けられます。
住宅ローン控除の適用期限が延長
住宅ローン控除のような制度は、年ごとに内容や適用期限が更新されるため、人によっては「1年前に家を買っておけばもっとお得だったのに」「来年家を買った方がお得だ」といった事態になることも少なくありません。
しかし、2022年度の税制改正は、2021年から2025年までの4年間に適用期限が延長されています。1年ごとに制度の中身が変わる心配がないため、マイホームの購入により時間をかけられるようになったことも、2022年度税制改正の大きな変更点です。
住宅ローン控除率は1%から0.7%にダウン
2022年度の改正で、控除率が1%から0.7%に下がりました。改正前の住宅ローン控除率は「住宅ローン残高の1%」でしたが、住宅ローン金利の中には年利1%未満のものも少なくありません。
元の制度だと、仮に金利0.7%のローンを組んだ場合年間0.3%控除で戻ってくるお金で得をしてしまいます。住宅ローン控除の元手が税金である以上、制度を使える方だけ得をするのは不健全です。
そこで、より市場金利に近い0.7%に住宅ローンの控除率が引き下げられています。
2022年度から控除期間が新築住宅等13年・中古住宅10年に変更
住宅ローン控除の控除期間は、最大で10年でした。2021年までは新型コロナウイルス等の影響もあり、特別措置として10年プラス3年の13年間控除を受けられるという制度になっていましたが、2022年度の改正によって新築住宅は控除期間13年、中古住宅は控除期間10年が通常の控除期間となっています。
また、今回の改正では、中古住宅購入時の要件が緩和されているのもポイントです。たとえば、中古住宅でも不動産業者が買い取ってリフォームなどをした上で販売している買取再販は、控除期間が新築と同じ13年になりますし、築20年・25年を越えると住宅ローン控除を受けられないというルールも、「1982年以降に建てられた家であれば良し」となっています。
まとめ
2022年度の税制改正によって、住宅ローン控除は環境に優しい物件ほど多くの控除を受けられるようになりました。
国の方針として省エネ住宅や高性能住宅の普及を進めている以上、一般消費者もより高性能な住宅を求めるようになっていく可能性は高いです。人口減少が続く日本でマンション投資物件の入居者を確保するためには、市場の需要に合う物件を見極める目が必要になってきます。
日頃から制度の変更にも目を配り、家賃収入で資産を築けるようになりましょう。