不動産投資にはリスクが付きものなので、時には投資の収支が赤字になり、不足分の支払いを自分のお金でカバーする「持ち出し」も必要になってきます。
もちろん、投資の収支が赤字になるより黒字になった方が良いに越したことはありません。 ただ、不動産投資に関しては、極端に持ち出しを恐れる必要はないということも知っておきましょう。
この記事では、どういう目的や状況であれば持ち出しがあっても問題なく不動産投資できるのかをお伝えします。
目次
生命保険と同様の効果を得られる
そもそも、多少の持ち出しがあっても不動産投資を始めた方が良いのは、不動産投資自体が一種の生命保険になるからです。不動産投資物件は非常に高価なので、通常現金一括ではなくローンで購入します。このとき、ローン契約者に何かあったらローン残債を肩代わりしてくれる保険、団体信用生命保険に加入できるのです。ローンを組んで団体信用生命保険に加入し、投資用の物件を買っておけば、自分に万が一のことがあっても家族に「残債ゼロの収益物件」を残せます。
団体信用生命保険を家族の生活保障として活用するメリットは、自分の預金よりも高額な資産を家族に残せること。不動産投資をしていない場合、家族に残せるのは手持ちの資産だけですし、仮に1人あたり500万円出る生命保険に加入していたとしても、家族が受け取れるのは500万円プラス個人の財産です。
しかし、不動産投資で購入するのは、個人の返済能力に物件の収益力を加味したローンでやっと手が届くような収益物件、たとえば、預金1,000万円の方が5,000万円の投資物件を持っている場合、家族は合計で6,000万円の資産を相続することになるわけです。
持ち出しありの不動産投資でも物件の売却益を見込める
不動産投資における良くない持ち出しは、「最終的な収支が赤字になってしまう」パターンです。何らかの手段で持ち出し分を補填できるのであれば、不動産投資物件の運用期間中に発生した赤字を回収できるので損をしていることにはなりません。
では、何を基準に「どこまで持ち出しをしても良いか」考えれば良いのかというと、一つは不動産の売却益です。ローンを完済して諸費用を支払い、それでも余った売却益の額までは、自己資金で持ち出しをしても不動産を売れば回収できます。
ただ、不動産の売却価格は築年数の経過や物件の劣化、近隣地域の賃貸需要などによって変動するものです。基本的には新しい物件ほど高く売れるので、「持ち出しが○万円になったら売ろう」という基準を持つ場合は、定期的に所有している不動産投資物件と似たような物件の売却相場を調べておきましょう。
築10年・築20年・築30年と経年劣化を含めた売却予想価格を自分の中で更新しておけば、持ち出し額が大きくなりすぎて損をする前に売却の判断ができるようになります。
持ち出し金額より将来的に得られる家賃収入の方が大きければ運営は可能
物件を所有している期間に出ていく持ち出し額よりも、物件所有中に稼げる家賃総額の方が大きければ、長期的に見て赤字にならないので持ち出しの有無を気にする必要はありません。
とはいえ、不動産投資ではさまざまな要因によって空室になったり家賃相場が下がったりします。月々のローン返済だけでなく、管理会社への支払いや修繕積立金、固定資産税といったあらゆる出費を差し引いた上で家賃の収益が持ち出し分を上回っている必要があるので、収支計算をする場合は細かく帳簿を付けましょう。
持ち出しありでも長期で見ると老後の大きな資産になる
立地や築年数の関係上長く稼げる可能性の高い物件は、持ち出しによる悪影響が小さいです。
また、持ち出しで多少損をしていても、収入源がなくなる老後に収益物件を持っていると精神面でも収入面でも安心できます。
高齢になるとローンを組みづらくなるので、年齢を重ねてから不動産投資を始めるのは大変です。若い内にローンを組んでおけば、不動産投資の経験を積みつつ老後の安定収入を確保できます。
実物資産である物件を所有できる
株や仮想通貨と違って、マンションや土地といった不動産は実物資産です。
自分の所有物として不動産を持っていれば、いつでも他人に貸して家賃を取れますし、売却して現金化できます。
また、ローンを完済した後自分で住んでも構いません。
現金はインフレが起きると価値が落ちますが、不動産は景気の影響を受けづらいため、資産性を重視するなら持ち出しを不動産という安定資産の維持費だと考えてしまっても良いでしょう。
まとめ
不動産投資では、持ち出し費用の存在が投資を始める際の障壁になっています。
ただ、不動産の売却益や家賃の収益で回収できるなら、持ち出しがあっても問題ありません。
また、生命保険としての機能や老後の収入源、現物資産としての安心感という面で見れば、持ち出しで多少損をしても不動産を持っておく価値があります。
持ち出しがあるから投資に失敗するわけではありません。
許容できない損害が出ないように、持ち出しをコントロールしながら投資の計画を進めましょう。