マンション投資に興味があるなら、長期修繕計画の大まかな内容や見方を知っておきましょう。
なぜなら、「マンションは管理を買え」と呼ばれるくらい、日々のメンテナンスで物件の収益性や投資に使える寿命が変わる資産だからです。
今回は、マンション投資物件の管理状態がわかる、長期修繕計画のチェックポイントをお伝えします。
目次
マンション投資で重要な長期修繕計画とはどのようなもの?
物件の資産価値を維持するために必要なメンテナンス計画のこと
長期修繕計画とは、不動産の資産価値や居住性、外観を維持するために必要な修繕工事の内容・時期・見積もり・住民から集める修繕積立金の額などを取りまとめた、メンテナンス計画のことです。
日本では、国土交通省が長期修繕計画のガイドラインを作り、管理組合に対して長期修繕計画の作成や定期的な見直しを義務化しているため、現存するマンションのほとんどに長期修繕計画が存在します。
マンション投資をするなら長期修繕計画のチェックが不可欠
マンション投資をする場合、長期修繕計画のチェックが不可欠です。なぜなら、長期修繕計画や長期修繕計画の実施状況を見ることで、投資した後十分なメンテナンスが実施されず、損をする可能性の高い物件への購入を回避できるため。
また、投資後に毎月管理組合へ支払う修繕積立金の額や増額のルールは、長期修繕計画で定められています。売買価格だけを見ていると、購入した直後に修繕積立金が高くなり、手元に残せる利益が減るといった事態にもなりかねないので、マンション投資物件を購入する前にチェックすることが大切なのです。
国土交通省によるマンションの長期修繕計画等ガイドラインとは
国土交通省によるマンションの長期修繕計画作成ガイドラインとは、マンションの管理組合が何年ごとにどういう工事をすれば良いのか、修繕積立金をどのように集めれば良いのかといった長期修繕計画の方針をまとめたものです。
そんな長期修繕計画等ガイドラインが、2021年に改定されました。変更内容はいくつかあるものの、マンション投資家にとって重要なのは「長期修繕計画の計画期間が長くなった」こと。
改定前のガイドラインでは、新築の場合30年分、中古の場合25年分の修繕計画を立てておけばよいというルールでした。そのため、例えば一般的には12年に一度行う大規模修繕工事の頻度を、建築資材の高騰などを理由に16年に一度のペースへ落とせば、本来なら2回分は必要な長期修繕計画上の修繕積立金必要額を、工事1回分に抑えられたのです。
しかし、今回の変更によって長期修繕計画の期間は最低30年になり、大規模修繕工事の頻度を16年に1回にしても16年×2回=32年分の長期修繕計画を作る必要ができました。 1平方メートルあたりの修繕費積立金の基準額も増額しているため、ガイドラインの改訂で修繕積立金の負担が増えたのです。
マンションの大規模工事は12年で行われることが多い
マンション投資物件を持つ以上、いずれは大規模修繕が訪れます。管理組合の積立金が予算に足りていない場合、一時金を徴収されたり本来必要な修繕工事が先延ばしにされたりすることになるので、投資をするなら大規模工事のタイミングを押さえておくことも重要です。
そして、マンションの大規模工事は多くの場合12年ごとに行われます。主にマンションの外壁塗装がはがれ、防水性が落ちたり一部設備の故障が増えてきたりするのが築10年前後だからです。
長期修繕計画で押さえておきたいポイント
長期修繕計画をチェックするときは、以下の2点に注意しましょう。
・長期修繕計画が問題なく実施されているか
・修繕積立金は足りているか
築12年を越えているのに大規模修繕が行われていない、数年後に大規模修繕が控えているものの空室率が高く修繕積立金が集まっていないといった物件は、購入した後に価値が下がる可能性が高いです。
逆に、計画通りメンテナンスされている物件は、賃貸としての寿命が長いので長期間運用できます。
長期修繕計画に基づいて修繕費用を資金計画に組み込んでおく
修繕積立金は、マンション投資物件を買うと毎月発生する費用です。投資物件の利回りを計算するときは、家賃収入からローンの返済や維持費だけでなく、修繕積立金も差し引いて儲かるかどうかを考えましょう。
また、長期修繕計画には、修繕積立金の金額だけでなく値上がりの条件等も記載されています。基本的に、建物が劣化していく以上修繕積立金も築年数が古くなるほど値上がりしていくので、5年後10年後に修繕積立金が高くなっても黒字を出せるかも計算した上で、投資のプランを考えましょう。
まとめ
マンション投資物件は、適切にメンテナンスされないと老朽化で資産価値が落ちていきます。
そこで重要なのが、マンションの修繕を何年ごとにいくらかけて行うのかをまとめた、長期修繕計画のチェックです。
国のガイドラインを守った長期修繕計画があるか、長期修繕計画通りにメンテナンスが行われているか、ガイドラインの改定による修繕費の値上げがいくらかなどを調べて、投資後に損をする物件への投資を回避しましょう。