マンション投資は毎月家賃収入を得られる一方で、管理費や修繕積立金、ローンの返済に利息など出ていくお金も多く、年単位で見たとき投資が成功しているのかわかりづらいという問題があります。
そこで役に立つのが、資産と負債のバランスをチェックできる書類、BS(バランスシート)を作ること。
この記事では、マンション投資の経営状態を客観的に把握できるツール、BSの利用法をお伝えします。
目次
マンション投資を効率的に行えるBS(バランスシート)とは
BS(バランスシート)は、主に企業の決算に使われている書類です。
・資産(マンション投資物件や現金)
・負債(ローン)
・純資産(物件購入の自己資金やこれまでに稼いで手元に残っている投資利益)
をまとめたもので、BSを見れば1年間の投資で自分の資産や負債がどれくらい増減したのか、つまりマンション投資がうまくいっているかどうかを把握できます。
BSを使うと数十年後の経営状態をシミュレーションできる
BSは、表の左側にプラスの資産(マンションや現金)を置き、右側に資金調達方法である負債(ローン)と純資産(主に自己資金)を置くことで、資産や負債のバランスを可視化したツールです。
そして、マンション投資は家賃収入やローンの支払い額、建物の経年劣化といった年間の収支がある程度決まっています。
つまり、投資を始めた時点でのBSを作って年間の収支を計算していけば、将来の経営状態をシミュレーションできるのです。
たとえば、返済期間25年で1,700万円のローンを組み、自己資金500万円を出して2,200万円のマンション投資物件を買った場合、BSは以下のようになります。
資産2,200万円 (建物1,300万円) (土地900万円) |
負債1,700万円 |
純資産500万円 | |
合計2,200万円 | 合計2,200万円 |
ここから、
・家賃10万円
・ローン金利2%
・減価償却費(建物の経年劣化分)年2.2%
・物件の維持費が月1.2万円
という条件を設定すれば、ローンを完済する25年後のBSを作成可能です。
資産4,125万円 (建物585万円) (土地900万円) |
負債0万円 |
純資産4,125万円 | |
合計4,125万円 | 合計4,125万円 |
土地は経年劣化しないので、価値は変わりません。
一方、25年間で負債(ローン)がなくなり、ローンを返した分建物と土地は自分のものになるので、建物・土地・家賃収入の現金の合計である4,125万円が純資産となりました。
このように、25年間で1,925万円資産が増え、すぐに使える現金も2,640万円あるといった計算をすれば、マンション投資物件を買うかどうか数字で判断できるようになるのです。
BSを見るときのポイント
自分の資産状況をまとめたBSを見るときは、「年単位で純資産が増えているかどうか」に注目しましょう。
マンション投資では、年間の収支が黒字で手元に稼いだ家賃収入が残っている場合に純資産が増えていきます。
逆に、投資の規模を拡大しようと複数のローンを組んだり、手持ち資金を投資につぎ込んだりすると、純資産が減って年単位では赤字になってしまうのです。
基本的に、ローンの返済を進めて負債を減らし、純資産を増やせば増やすほど、投資に失敗したときのリスクは小さくなっていきます。
融資攻略につながるBSとは
BSを作るメリットの一つが、ローンを利用しやすくなることです。
金融機関はビジネスとしてローンを提供しているため、「問題なく返済できる可能性が高い」ことを示すと追加の融資を受けやすくなります。
そこで重要になってくるのが、BSの自己資本比率です。自己資本比率は、「純資産÷総資産×100」で求められるパーセンテージのことで、自己資本比率が高いと借金が少なく健全な投資をしているという証明になります。
そのため、新たに融資を受けたい場合、繰り上げ返済や投資物件の売却で負債を減らしつつ、現金を増やし自己資本比率を高めてから審査を受けると審査に通りやすくなるのです。
BSで倒産リスクを分析する
BSの見方がわかるようになると、「このままマンション投資を続けていくと倒産するかもしれない」「この物件に投資すると損をしそうだ」といった判断ができるようになります。
では、BSがどういった状態なら良くないのかというと、債務超過している場合です。
債務超過とは、投資の状況を年間で見たとき、純資産がマイナスになってしまっている状態のこと。
たとえば、無理をして複数のローンを組んで負債が増えすぎていたり、減価償却費やローンの返済額より家賃収入の方が小さくて純資産が減ったりすると、BS上の財務評価は悪くなります。
債務超過が続くということは、いずれ経営が破綻し倒産するリスクがあるということなので、定期的にBSをチェックして、倒産リスクが上がっていないか分析すると良いでしょう。
まとめ
BSを使うと、気になっているマンション投資物件を購入すると数十年でどれくらい資産を増やせるのか、現在のマンション投資のやり方に問題はないのか等を客観的な数字で分析できるようになります。
マンション投資は、動かす金額が大きい分損をしたときのリスクも大きいです。
あいまいな基準で投資の判断をすることは避け、BSを見てリスクとリターンのバランスを取ることで、賢く自分の資産を増やしていきましょう。