マンション投資で避けて通れない「与信」とは

与信とは、「金融機関がいくら貸してくれるのか」を示す指標のことです。
マンション投資では、多くの場合自己資金だけだとお金が足りないため、金融機関でローンを組んで物件を購入します。
ただ、金融機関も慈善事業でお金を貸しているわけではありません。
返済能力のない相手に高額な融資をしても、利息どころか元金すら返ってこない可能性が高いので、誰彼構わずお金を貸していると損をしてしまいます。
そこで、個人の返済能力をいくつかの項目で審査し、与信という評価を与えることによって、いくらまでなら貸せるのかを判断しているのです。

マンション投資で「与信枠」が重要な理由

与信枠で組めるローンの上限が決まってしまうから

マンション投資をするときに与信枠が重要な理由は、金融機関で組めるローンの上限額が与信枠によって決まるため。仮に個人の与信枠が2,000万円なら、2,000万円プラス自己資金がマンション投資の全予算となります。

しかし、家賃が高くて入居者の質も良く、空室になっても安定して次の入居者を確保できるような賃貸物件は、誰もが欲しがるので高額です。

どれだけ投資したいと思える物件と出会っても、マンションを買えるだけの与信枠がないと賃貸物件は押さえられません。
逆に、大きな与信枠があれば、様々な物件が投資の候補に入ってきますし、たとえば与信枠を分配してワンルームマンションを2部屋買うといった戦略も取れるようになります。

投資できる物件の選択肢も、投資戦略の自由度も与信枠で決まるからこそ、マンション投資では自分の与信枠を把握した上で予算を決めたり与信枠を広げていったりする必要があるのです。

与信が高いとローン金利も有利になる

金融機関の与信が高いと、ローンの金利が下がったり返済金額の長いローンを組めるようになったりします。なぜなら、与信が高い投資家は、高額なローンを組むことができ、高額なローンを組んでも利息込みで完済できる可能性が高いからです。

融資額が大きいと、返済期間を伸ばしたり利息を下げたりしても長い目で見ると金融機関が儲かるため、与信の高い利用者は金融機関から優遇してもらえます。

年収・勤務先・勤続年数などの金融機関がチェックする属性について

金融機関が利用者の与信を決めるときにチェックされるのが、

・年収
・勤め先の規模と安定性
・勤続年数
・物件の収益性と担保評価

の4項目です。

ローンでマンション投資物件を買うためには、上記の4項目全てが金融機関の求める基準をクリアしている必要があります。具体的にいうと、年収に関しては500万円以上、大企業・公務員・医師など社会的信用度の高い職業で、勤め先の業績が安定しており、勤続年数が3年以上だと高評価です。

また、マンション投資の場合、返済が滞ったら投資物件を売却して元金を返すことになるため、「どの程度儲かる物件なのか」「大体いくらで売れるのか」も評価の対象になります。

勤続年数が一番重視されるというのは本当？

与信を決める属性は何か一つが重視されるわけではなく、全て重要です。ただ、勤続年数の長さは、転職・離職・起業等をするとリセットされてしまいます。
年収や勤め先の属性は、キャリアップ転職や独立で良くなりますし、物件の収益性・担保評価も投資する物件を吟味すればより良いものも見つかりますが、勤続年数はどれだけ工夫をしても今すぐには伸ばせません。
一般的に属性が高いとされる方でも、勤続年数を伸ばすのは難しいので、与信の属性では勤続年数が一番重要だという意見があるのです。

マンション投資をするときは、転職や独立・起業をする前にローンの審査を受けると良いでしょう。

属性の評価を上げる方法

個人の属性を上げる方法は、基本的に今の会社で勤続年数を伸ばしていくか、より待遇が良く規模の大きい企業へ転職するかのどちらかです。
ただし、今の会社を辞めると勤続年数が0になるので、年収アップを狙って転職や独立をする場合は、新しい職場に移ってから最低でも3年待ちましょう。

一方、投資物件に関しては、より収益性の高い物件を見つけられれば評価が上がります。
交通の便が良い、間取り・住宅設備・周辺環境が地域の賃貸ニーズに合っている、実質利回りが高い、適切にメンテナンスされており修繕積立金も問題ないといった物件を探すのがおすすめです。

まとめ

マンション投資で成功するためには儲かる賃貸物件が必要で、儲かる物件を買うためには金融機関でローンを組む必要があり、ローンを組むためには融資額に釣り合うだけの与信が必要になってきます。

自身の与信枠を越えたローンは組めないので、マンション投資を始める場合は、自身の与信を把握した上で物件探しを進めましょう。