マンション投資をする上で避けては通れないのが、マンションという高額な資産の購入費を長期に渡って経費にできる「減価償却費」という会計処理の仕組みです。
日本では、年間の収入から経費と控除を差し引いた「所得」の額で納税額が決まります。減価償却費という金額の大きな経費の使い方を知っておけば、10年20年という単位で大幅な節税ができます。
ここで、マンション投資の成功に欠かせない減価償却費の基本的な仕組みと使い方を押さえましょう。
目次
マンション投資における減価償却費とは何なのか
マンション投資における減価償却費とは、非常に高額な資産である不動産の購入費を、数年に渡って少しずつ経費として処理するための仕組みです。
日本では、個人も法人も関係なく、1年間で得た収入や経費を申告して納税を行うというルールになっています。
そのため、たとえば2022年に使ったお金は、全額2022年の経費として処理することで「価値を使い切る」のが基本です。
ただ、不動産のように高額な資産は、1年で価値を使い切れるようなものではありません。莫大な資産価値が1年で消費され尽くされて全額経費になるより、「3,000万円の物件を10年かけて毎年300万円ずつ経費にすることで、毎年300万円ずつ経年劣化していく」方が自然なので、減価償却という仕組みが利用されています。
減価償却費を使いこなすとマンション投資の税金が安くなる
減価償却費を使うと財布からお金を払わずに経費を増やせる
マンション投資の成功に減価償却費の理解が欠かせないのは、単純にマンション投資において最も高額な経費が減価償却費だからです。数千万円するマンションの購入日を10年20年で割っても、毎年の減価償却費は軽く100万円を越えてきます。
また、減価償却費は「一年の資産価値減少分」を数値化したものです。書類上は200万円の経費を使っていることになっていても、実際には何かの支払いをしているわけではないので、手元のお金を使わずに経費を増やして節税できるというメリットがあります。
減価償却費で赤字になると損益通算で本業の税金も安くなる
本業のある方が副業として始めたマンション投資で赤字を出した場合、「損益通算」といって投資事業の赤字分を本業の所得税と住民税から差し引きすることが可能です。
手元のお金が減っていなくても、減価償却費で書類上赤字の状態になっていれば、本業の税金まで安くなります。税金が安くなるとローンの返済にも余裕を持てるので、マンション投資をするときは損益通算をして得をするラインを見極めることも重要です。
減価償却費を考える上で押さえておきたい法定耐用年数の話
減価償却費は、主に「法定耐用年数」と不動産価格で金額が決まります。
法定耐用年数は、不動産の種類(木造か鉄筋コンクリート造か)等によって「書類上の寿命が何年か」を定めたものです。たとえば、鉄筋コンクリート造の場合法定耐用年数は47年なので、新築で鉄筋コンクリート造のマンションを購入すると、47年かけて減価償却することになります。
減価償却費を処理する3つの方法
減価償却費の具体的な計算方法は、以下の3種類です。
- 定額法:マンション投資物件の購入金額×法定耐用年数に応じた償却率
- 定率法:(マンション購入額-これまでの減価償却費の総額)×定率法の償却率
- 簡便法:(法定耐用年数-物件の築年数)+築年数×20%または法定耐用年数×20%
最も一般的なのは、毎年一定の割合ずつマンションの購入金額を減価償却費にしていく定額法。
定率法は、2,000万円の物件を初年度に150万円減価償却費として処理したら、2年目は1,850万円に対して償却率をかけ、減価償却するというやり方です。前半の減価償却費が高く、逆に後半にかけて減価償却費は低くなっていきます。
最後の簡便法は、中古物件を買ったときに使う方法です。これまでに使われてきた年数から「現在の耐用年数」を割り出し、現在の耐用年数で不動産の購入金額を割ると年間の減価償却費を計算できるという理屈になっています。
マンション投資成功の鍵は減価償却費のシミュレーションをすること
減価償却費は、手元のお金を残したまま経費を増やして所得税や住民税を節税できる仕組みです。
ただ、減価償却費を増やすために高額な物件に手を出すと、月々のローン返済が苦しくなってしまいます。人によって、また投資する物件によっても「経費がいくらあれば税金が大幅に安くなるのか」というラインは違うので、手元により多くのお金を残せるように、マンション投資をするときは減価償却費のバランスもシミュレーションしましょう。
まとめ
減価償却費は、手元のお金を使わずに経費を増やし、所得税や住民税を抑えられる効率の良い節税制度です。
ただ、減価償却費だけを重視すると、無理のあるローンを組んで返済に追われるという事態にもなりかねません。マンション投資で重要なのは、長く安定した投資を続けることです。投資の資金計画を立てるときは減価償却費のシミュレーションも行い、最大限にリスクを抑えつつ、節税できるバランスを見極めましょう。