税務署に開業届を出さなくても、マンション投資は始められます。
ただし、マンション投資の利益に対してかかる税金を節税したいなら、早めに開業届を出した方がお得です。
この記事では、サラリーマン大家がマンション投資をする際に開業届けを出すメリットや、
開業届を出す際の注意点、投資業を法人化するタイミングの目安などをお伝えします。
目次
開業届って何?マンション投資をするとき必要なの?
開業届とは、「これから個人事業主としてこういう事業を始めます」と税務署に報告する手続きのことです。個人が事業所得や一定以上の不動産所得、山林所得を得る事業を始める場合、基本的には開業届を出すことを義務化されています。
ただ、開業届を出さなくても特に罰則はありません。毎年利益に応じた申告と納税をしていれば、無届けでもマンション投資は可能です。
サラリーマン大家が開業届を出すメリット・デメリット
サラリーマン大家が開業届を出すメリット
サラリーマン大家が開業届を出すメリットは、青色申告を利用できることです。青色申告とは、「開業届と青色申告の申請書を出している」「複式簿記と呼ばれる方法で事業の収入や経費の帳簿を作っている」者だけが利用できる申告方法のことです。
青色申告の申請をすると、以下のような特典を受けられます。
- 最大65万円の青色申告特別控除を利用できる
- 青色事業専従者にした親族へ支払った給与を投資の経費にできる
- 赤字を3年間繰越できる
サラリーマン大家は、開業届を出して青色申告をした方が、所得税や住民税を節税できてお得なのです。
サラリーマン大家が開業届を出すデメリット
開業届を出すこと自体に、デメリットはありません。開業届を出しても青色申告承認申請書を提出しなければ、単に「サラリーマン大家」という肩書が付くだけだからです。
ただ、青色申告をする場合、複式簿記という形式で日々の収支を帳簿に付け、確定申告書とは別に青色申告決算書も提出する必要があります。白色申告よりも青色申告の方が面倒な申告作業をする必要があるというのが、サラリーマン大家にとってのデメリットとなるでしょう。
マンション投資で開業届を出す際の注意点
青色申告を利用するためには、「開業した年または青色申告を受けたい年度の3月15日」または「開業してから2ヵ月以内」に税務署へ青色申告承認申請書を出す必要があります。
もし、期限までに青色申告承認申請書を提出できなかった場合、その年度は青色申告を受けられないので注意しておきましょう。
節税目的でマンション投資の収入を青色申告したい場合は、開業届と青色申告承認申請書を一緒に提出するのがおすすめです。
マンション投資における開業届の書き方のポイントと提出先
開業届と青色申告承認申請書は、税務署または国税庁のホームページから無料でダウンロードできます。提出先は、開業届に記入した事業所住所の最寄りにある税務署です。
わかりづらい記入項目もあるので、開業届を書くときは以下のポイントを参考にしてください。
- 開業日と提出日は日が離れていても問題ない(開業から2ヵ月以上経っていても受理される)
- 事務所を借りていなければ住所地(住民票の住所)か居住地(現住所)を納税地にする
- 職業欄は「不動産賃貸業」と記載
- 屋号はつけなくても良い(屋号を決めておくと屋号で銀行口座を作れる)
- 事業の概要は「不動産を買って第三者に賃貸する」など具体的に書く
- 「給与等の支払いの状況」欄は、家族や第三者を雇うつもりがある場合のみ記入する
- 給与支払いをする場合は源泉徴収と毎月の納税が必要になるものの、従業員が10人未満なら「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」の「有」にチェックを入れると納税回数を年2回にまとめられる
マンション投資で法人化するタイミングは?
マンション投資を個人事業から法人化させた方がお得になるのは、
- マンション投資の所得が年間900万円を越え所得税より法人税の方が安くなった
- 不動産の売買や賃貸業の規模を広げたい
- 不動産を会社所有にすることで相続税を節税したい
といったタイミングです。
法人化することで使える経費の幅も広がりますし、法人名義でのローンも組めるようになりますが、赤字でも法人住民税がかかったり所得額によっては法人税の方が高くなったりもします。法人化した方が良いかは人によって違うので、開業届と法人化どちらがお得かをシミュレーションすると良いでしょう。
まとめ
マンション投資を始めるときに「開業届」と「青色申告承認申請書」を最寄りの税務署へ提出すると、節税効果の大きい青色申告ができるようになります。
書類の準備や提出は面倒かもしれませんが、最初に行っておけば節税ができて今後の投資も楽になるので、投資をするときは開業届を出しましょう。
なお、個人事業としてやっていくのか、法人化した方が良いかは人それぞれです。法人化に興味があるならマンション投資のアドバイザーに相談し、自分に合った選択肢を選べるようになりましょう。