マンション投資をする上で、避けては通れないのが水害を始めとした災害リスクの対処です。災害リスクを考慮せずに投資物件を決めてしまうと、たとえば大雨でマンションの電気設備が壊れて修繕費として数百万円が飛んでいく、といった事態になってしまう可能性があります。
ただし、水害被害への遭いやすさは、物件広告や物件の内覧時に一目でわかるようなものではありません。そこで重要なのが、災害ごとのリスクを地図にまとめたハザードマップの利用です。
この記事ではマンション投資における水害リスクの恐ろしさと、投資物件を決める際にハザードマップを確認する重要性についてお伝えしていきます。
目次
水害によるマンション被害の内容とは?
大雨・台風・洪水・津波といった水害によってマンションが受ける一般的な被害は、以下の通りです。
- 床上・床下浸水
- 雨漏り
- エレベーターや機械式駐車場、電気室といった電気系統の故障
- 防災センターの浸水
「高層階のマンションなら、浸水被害について考える必要はないのでは」と考える方もいると思いますが、実はマンションが受ける水害は川の氾濫や大雨による道路の冠水といったもの以外に、「処理能力を超えた水が流れ込んだことによる下水管の逆流」も存在します。マンションの高層階でも、下水が逆流すれば水回りを中心に浸水被害に遭うリスクがありますし、後日消毒などの対処が必要です。
また、マンションの電気系統や給水設備を管理するシステムは物件の1階や地下にあることが多く、これらの設備が浸水すると、階に関係なくエレベーターやトイレが使えなくなったり給水設備が故障したりします。所有しているマンション投資物件が水害被害に遭えば、当然、修繕費や清掃でお金を使うことになりますし、住民の持ち物に被害が出たらそちらの対応も必要です。特に、機械式駐車場は故障で100万円以上のお金が飛んでいくことも珍しくないため、投資の状況によっては一度の水害で投資を続けるだけの余裕がなくなってしまいます。
河川がなくてもハザードマップの確認は必須!マンションの水害リスクとは
「近くに大きな河川がないから、水害への備えは不要」という考え方は、マンション投資において非常に危険です。なぜなら、水害はたとえ近隣に河川や海がなくても起こる可能性があるからです。政府広報オンラインの記事によると、2011年から2022年までの10年間で全国96.8%の自治体が水害に遭っています。※1
日本で不動産を持つ以上、水害のリスクを避けては通れません。「河川から遠いし大丈夫だろう」と購入を決めた物件が、過去に大きな水害の被害に遭ったエリアの物件だとしたら、水害が起きたとき後悔をするのは自分です。どの地域の物件を買っても水害に遭う可能性があるからこそ、マンション投資をする際はハザードマップを確認し、少しでも水害リスクの低いエリアを見極める必要があります。
水害の恐れがある地域のマンションに投資する際の注意点
何らかの事情で埋立地など水害が予想されるエリアの物件を購入する場合、修繕積立金や管理費を周辺の物件と比較するのがおすすめです。大きな水害が起きた物件は、修繕積立金を消費するので管理費や修繕積立金が高くなっているケースが少なくありません。修繕積立金が少ないと物件の維持に必要な大規模修繕等もできなくなるため、修繕積立金・管理費が相場よりも値上がりしていない物件を選びましょう。
マンション投資における水害リスク対策
マンション投資における水害リスク対策は、とにかく水害に遭う可能性の低いエリアにある物件を選ぶことです。具体的には、各自治体が公開しているハザードマップを確認し、水害リスクの低い地区のマンションに投資することをおすすめします。
その上で、水害による被害を受けやすい設備、たとえば機械式駐車場や地下駐車場のある物件を避ければ、仮に水害が起きても被害の程度を抑えられるでしょう。
もしも水害に遭ったら?マンション投資の損失を抑える方法
所有しているマンション投資物件がもし水害に遭ったら、火災保険で損失を補填してもらいましょう。一般的な火災保険は、実は水害もカバーしています。
ただし、火災保険の水災補償は保険金の支払い基準が明確に定められており、軽度の水害では補償を受けられない場合もあるので注意が必要です。水害リスクの高い物件を買う場合は、水災補償を充実させる特約を付けると良いでしょう。
まとめ
日本は、過去10年の間に96.8%の市区町村で水害が起きている国なので、マンション投資をする場合は水害リスクを考慮して物件選びをする必要があります。
ただ、水害に対する強さは物件を見てもなかなかわからないため、自治体が公表しているハザードマップで水害リスクを調べ、リスクの低いエリア内で投資する物件を選びましょう。